江戸奇談怪談集 (ちくま学芸文庫 ス 14-1)
江戸奇談怪談集 (ちくま学芸文庫 ス 14-1) / 感想・レビュー
HANA
江戸時代の奇談、怪談集。男女の性別が変わる話や水を出す石、各地の名所や怪しい気象等が多い奇談と、人を馬に帰る家や見越し入道、傘が御神体になる話とかが多い怪談。こう見ると両者の境界がやや曖昧であるな。稲生物怪録を始め、牡丹灯籠や赤間関の亡霊等、後世に影響を残した有名な作品も数多く収録されている為、概読の話も多いように感じたが、後に翻案されたのも多いためそう感じるのかも。兎に角圧倒的なボリュームで、存分に江戸時代の怪異の世界に遊ぶことが出来た。翻訳も良く江戸時代の話に興味がある人はぜひ読むべき。
2013/04/29
あたびー
やや難しい文体かもしれないが、現代語に書き下ろしてあるので大変読みやすいです。巻末には須永先生による元本の解題も掲載されています。衆道や半陰陽の話題が多数含まれているのは須永先生のチョイスならではなのかな?ひとつとしてつまらない話無く、楽しめる本です。「耳囊」「伽婢子」「平田本稲生物怪録」など、よく知られている話も多く、耳なし芳一の元であろう「耳切れうん市」なども興味深く読みました。
2022/10/25
藤月はな(灯れ松明の火)
戦国武将の家来の縁起、男色、遊女、歌舞伎、天狗に攫われ、人では持ちえない知恵を授かった子供など近世の文化要素が盛り込まれた怪談&奇談。三遊亭圓朝、小泉八雲、稲垣足穂、杉浦日向子の手によって換骨奪胎されることで新たに語られることになった作品も多数収録。このことを考慮すると話の統一性や強調性から平均化が伺えて面白いです。陰摩羅鬼や「天守物語」で登場する朱の盆などの妖怪も登場。特に興味深かったのは無意識が本人が気づかない所で喧嘩していたという話。ユング的でもあり、憑き物信仰の根源を示していると思いました。
2012/12/24
テツ
数多くの江戸時代の書物から怪異譚を色々集めて纏めた一冊。日本人なら話の筋は知っているようなお話も多くそれぞれの類話について思い返したり、わりと頁数はあったけれとこの手のお話が大好きなのでラストまで楽しく読めました。古の本邦の人間が感じていた日本独特の怪談奇談を山ほど読めて素晴らしい。現代語訳も格調高く雰囲気を高めてくれていて満足。幽霊とか鼻毛の先ほども信じていないけれど洋の東西を問わずこうしたお話は大好き。人間以外の何かが跳梁跋扈した世界に少しだけトリップした気持ちになれる。
2016/11/16
デューク頭領
…かつて国書刊行会から出た、日本古典文学幻想コレクションの「怪談」と「奇談」を合本したものだそうですが、江戸期の話に限定して、今昔物語などからの話は割合しているそうです…非常に美しく読みやすい印象に残る訳文だった記憶があります…小泉八雲の「茶碗の中」などは、この本で初めて読みましたが、実に不可解で不気味な話でした…怪談奇談好きにはとにかくお勧めいたします…文庫で手軽に読めるな んて素敵ですね…
2018/06/14
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