ちくま日本文学全集 8 色川武大
ちくま日本文学全集 8 色川武大 / 感想・レビュー
職商人
月跨ぎで読了。伊集院静著「いねむり先生」のモデルであった色川武大は、男が惚れる男だったと言います。読んでいて、何故、そうかが分かります。世間からはみ出た人への優しいまなざしがあります。包容力と言うのだろうか。そばにいるだけで安心する御方だったと思います。文章がまた、そのように大らかで繊細。ユーモアもあります。読んでいて心が落ち着きます。速読の私がゆっくりと読んで味わいました。どの短編もじわっと心に沁み渡るのです。一晩一編にしようと思ったのに6日で読んでしまいました。もったいなかったな・・・・。
2014/02/04
那由多
小難しい技法や手法を使うわず、庶民的な文体で読みやすい。「麻雀の神様」の異名を持つほどのギャンブラーの書く、作品は多分に自身を投影していてどれがエッセイなのか小説なのか区別がつかなくなってくる。『善人ハム』の善さんの心の傷に物悲しくなったが、善さん夫妻に笑わされ救われる。『オールドボーイ』不器用な男の男らしさの意味。どちらも最後まで読んで、味わわせる話だった。全編が戦後昭和の中、真剣勝負とユーモアの間を生きてる様だった。
2018/05/12
桜井青洲
全集というだけあって様々な作品から集められ著者知れる一冊。本書に登場する人物どれもが著者を介し活き活きに書かれていて飽きない。飾らない人柄と上塗りするように語る自身の人生から生まれる文章がたまらない。高校生の頃から著者の作品を読みだして性格や考え方に大きく影響を受けたものです。またふとした時に読みたい一冊。
2016/01/28
うな
男と女の会話が絶妙の味わい。奇妙な人間や出来事の巧みな描写に知らず知らずページを進む。自分の病気を恐ろしく客観的にユニークに語る様子は本当にすごいなあと。時々読み返したい一冊。
2011/06/01
祐徳太子
「男の花道」の芹沢博文目当て。秀行先生のことも描かれててよい。それにしても谷崎の巻と金子光晴の巻に挟まれるようにして色川武大の巻がある(しかも8/60巻目!)奇妙さ。
2024/03/07
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