ちくま日本文学全集 (35) 寺田寅彦
ちくま日本文学全集 (35) 寺田寅彦 / 感想・レビュー
壱萬参仟縁
寺田先生の経験則では、 平均3台目か4台目ごとに目立って早過ぎるものあるいは遅すぎるものが来る(傍点、215頁)。停車回数に等しい冪(べき)数(傍点、=累乗指数) で収容人数が増加する訳(217頁)。身近な社会事象を科学する心を寺田先生に学ぶべきだ。来かかった最初の電車の電車に乗る人は、空いた車に逢う機会よりも込んだのに乗る機会の方がかなりに多い(傍点)。どうしても、福知山線脱線事故を想起しないわけにはいけない。社会学からすれば群集心理。寺田先生は物理学だから、数式にてΔTで説明された。
2015/12/15
ほじゅどー
★★★★団栗。肺病の妻と植物園に行った。その時、妻が喜んだのが団栗拾いだった。その妻は今はもういない。俳句の精神。日本人は自然を自分のからだの一部として情緒的に捉え、西洋人は自然と人間を切り離して科学的に考える。風流。さび。俳句の修行は自然に対する観察力の練磨。自然界の美しさが眼前に展開される。次にはその眼前の風景の中からその焦点となり象徴となるべきものを選択し抽出すること。外側に向けた眼だけではダメ。自己と外界との関係を内省する必要がある。俳句は不要なものを切り捨て切り詰める。
2014/09/03
りつか
「天災と国防」が読みたくて手に取ったんだけど、あとで確認したらそれは青空文庫でも読めたという。「比較言語学における統計的研究法の可能性について」の数式、何かに考え方が似てるような…と思ったけど、どうやらPageRankの計算アルゴリズムを連想してたっぽい。類似性、類似可能性の計算、ってところから連想してしまったのかな。
2019/09/06
sanga
寅彦先生、自画像を描くんですよね。描いているうちにその顔が父親に似てきたり ひと筆ごとにいろんな人が現れるんです。先祖が現れるんですよね。遺伝子とかDNAとか難しいこと抜きに ご先祖様とのつながりがストンと納得できます。
2015/09/02
nrm
この人の妖怪考が好き。民間伝承を否定せず、その現象や伝承から仮説(ほど頭ごなしではない)仮考を立てていく過程を読んでいると、科学と妖が並立することがするりと理解できる気になる。科学と妖怪を対立させることが意味がないことも。
2010/04/10
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