ちくま日本文学全集 39 中野重治
ちくま日本文学全集 39 中野重治 / 感想・レビュー
ダイキ
保田與重郎との関係に興味があり読みました。中野重治と保田與重郎は一般には対極に位置する文学者とされていますが、二人は互いの著書を殆ど全て熱心に読み交わす関係にあったそうです。本書中では終戦一年後程に書かれたという『五勺の酒』が最も興味深かった。中野は所謂赤のため天皇制というものには怒りを持っているのですが、それはあくまで天皇“制”に対してのものであり、天皇という“個”人には非常な憐憫の情を覚えるというのですね。そしてその憐憫なき共産主義などまやかしというのだ。こういった“慨嘆”には非常に感銘を受けました。
2017/06/13
トレイルかめ
共産党関係よみずらい
2014/07/27
Hiro
「むらぎも」を読んだ後で、少しこの著者の要領も分かって割とすいすいと読んだ。本書は著者の全体像をコンパクトに教えてくれるアンソロジー。詩から始まって長編の抜粋やら背筋が自然と伸びるような、鋭い短編やら、ゆったりとした随筆風の小品やら、講演録、手紙まで。私のひとつのテーマである、戦争と個人を中心に置いた日本の近現代史、ということを考える上で、これからも読むべき、とても重要な作家だと思った。巻末の加藤典洋の解説にある「暗くてねちねちした」という評言は確かに当たってるかも。女優原泉の旦那だったことも知りました。
2020/09/25
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