ちくま日本文学全集 43 志賀直哉
ちくま日本文学全集 43 志賀直哉 / 感想・レビュー
カブトムシ
「灰色の月」…昭和20年(1945年)の夏、日本はアメリカとの戦いに敗れた。その年の秋に書かれ、翌年一月に「世界」創刊号に発表され、多くの世評を呼んだ。薄曇りの空から灰色の月のぼんやり照っているある晩、東京駅から渋谷まで山の手線に乗った作者は、その電車に十七、八才と思われる一人の子供が乗っているのを見た。少年工は身体を起こし窓外を見ようとした時、重心を失いいきなり私に寄りかかってきた。その寄りかかられた時の少年工の身体の抵抗が余りに少なかった事で一層気の毒な想いをした。この死にひんした少年工の姿を描く。
Hisashi Tokunaga
「大田文学っでどう」;「赤西蠣太」を読みたくて本書を手に取った。「自転車」に横浜まで自転車で遠出した直哉たちが帰途梅屋敷で休憩するシーンあり。全体の編集は志賀直哉の初期から晩年にいたるアンソロジー作品系列にもなっている。初期作品が谷崎や芥川の作風に似ているのは、大正・昭和初期の読者がこうした作風の小説を求めていたともいえるのかな?
2018/04/27
♪
「小僧の神様」「城の崎にて」のみ
2017/04/03
トレイルかめ
作者の心の暖かさが作品ににじみでている
2014/08/12
歴史小説大好き猫
図書館の本。但馬国の話題が出るたび、先生が志賀直哉の「城の崎にて」を持ち出されていたので。「小僧の神様」のプロットが、うらやましすぎて大好き。好運があったとき、どっかで自分のことを見てくれてた神様のしわざなのかも…と、少しスピリチュアルな気分になることがよくあるからだ。それに関連して「盲亀浮木」も好き。自分の人生にも、小さいことだけど、おっそろしいほど理解できない偶然が起こったことがある気がするので。この一冊で、自分と関連するものは好意的に受け止めてしまうんだな、と発見した。
2017/07/02
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