ちくま日本文学全集 54 織田作之助
ちくま日本文学全集 54 織田作之助 / 感想・レビュー
Kouro-hou
「夫婦善哉」とかタイトル見た時にいい話系かと思い込んでたら、激しいだめんず話じゃないですか。また最初の一行でグッと引き込む力が半端無いんですよ。だめんず系の話ってあんまり得意じゃないんですけど、ついつい出だしの勢いで読めちゃうんです。「猿飛佐助」ですらだめんずですよ! 最晩年の随筆「可能性の文学」で盛大に志賀直哉や私小説をディスっているわけですが、本人は志賀直哉が本当は大好きで、でも直々に非難されたトラウマをひた隠しに違う角度で私小説書いた辺りにグッと来るものがあります。もっと長生きして欲しかったですね。
2018/04/01
tokko
織田作之助と言えば「夫婦善哉」や「世相」「蛍」が有名だ。ところが本書に収められている「勧善懲悪」「猿飛佐助」「ニコ狆先生」も、オダサクらしい。特に「猿飛佐助」や「ニコ狆先生」は、安吾の「風博士」と通じるファルスだ。「可能性の文学」を読めば、きっと彼は新戯作派なんていうカテゴライズを好まないだろうな、とは思うけど。
2013/01/20
白黒豆黄昏ぞんび
大阪の人情と風俗がユーモアたっぷりに描かれた作品集でした。オダサクさんは三十四歳で亡くなったのですね。勿体無いですね。
2015/04/13
kankoto
NHKで「夫婦善哉」がドラマでやってて(ドラマもとても良かった)そう言えばちゃんと読んだ事ないなと思い本棚から引っぱりだして来て読んだ。「夫婦善哉」の他にも短編が数編入っているんだけど「猿飛佐助」見たいなのもあるのが意外だった。読み物的な・・・。好きなのはその時代の普通の市井の人たちの話。「木の都」もしみじみするし「競馬」とかも良かった。「アド・バルーン」の最後のシーンも凄く好きだ。
2013/10/02
葛西狂蔵
オダサクのまた違う一面を垣間見た。『ニコ狆先生』や『猿飛佐助』は、明らかに新潮文庫『夫婦善哉』に収められた諸作とは手つきも態度も違うユーモアを基調とした軽さがある。まぁ、『夫婦善哉』等の代表作を例に挙げるまでもなく、ある種のおかしみ、ユーモアは著者の専売特許と云えると思う。故に陰惨になり兼ねない事象も不思議とジメジメしない明るさがある。関西弁もその傾向を助ける様に有機的に機能しているんじゃないだろうか。しかし、オダサクに限らないが、数々の出版社から出てる短篇集が被りまくりなのが悲しい。
2017/03/28
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