李白の月 (ちくま文庫 み 5-14)
李白の月 (ちくま文庫 み 5-14) / 感想・レビュー
キジネコ
何度も 引き出して楽しむ本です。李白が水に溶けて仙人になった「月」にまつわる話から始まり「月夜」の とある庭で起こる不思議な話で仕舞う17編、南伸坊さんの絵と小文で語られます。ゆっくりと「現」が「不思議」の世界に変わる。古い時代の中国、天下国家を、崇高なる思想を語る「大説」に対して、取るに足らない話題・伝承・噂に材をとった「小説」が一つのジャンルとして人気を博し、ここに紹介される不思議譚も数多く文字に残されました。その芳醇は玉石の輝きを放ち 心地よく酔わせてくれる美酒の味わい。異界の入口がそこに開く・・・
2013/07/28
三柴ゆよし
中国の志怪小説には一時期かなりハマっていて、『捜神記』やら『聊斎志異』やら手当たり次第に読んだが、南伸坊がそれを漫画化していたとは知らなかった。南伸坊の味のある筆遣いにかかると、「李白の月」「花魄」「飛頭蛮(ろくろくび)」など、日本人にも馴染みのある話があたかも新しい生を得たかのようだし、『聊斎志異』の「耳中人」や、彼の記憶のなかにのみ生き続けているという、典拠不明の「大きな蛤」なんかについては、あまりの不条理さに思わず吹き出してしまった。絶品である。杉浦日向子『百物語』とセットで読むといいかもしれない。
2012/05/28
tom
南伸坊さん、おぼろげだけど、坊主頭の人だったかしら。いつもニコニコと笑っている印象の人。この本は、中国の古典(怪異小話という類)をネタにして、漫画に仕立て、コメントを書いたもの。漫画も面白い、コメントは楽しい。なかなかの上質本でした。
2015/04/15
Ribes triste
お気に入りの本です。中国古典の志怪、伝奇物語が伸坊さんの漫画で描かれています。伸坊さんの漫画はなんともユーモラスで幻想的、そしてエロティック。漫画の後の解説もこれまた楽し。またこんな本書いてくれませんかねぇ。
2016/11/11
tomo6980
あ、これ面白い。ヌケヌケとした話をひょうひょうと描いていて、いいですね。と、思いきや「目と耳の感覚をつなぐところに芸術がある」といったように本気を出した部分がいきなり現われたりして、これまた読ませる。枕頭の書がまた一冊。
2020/06/29
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