ブス論 (ちくま文庫)
ブス論 (ちくま文庫) / 感想・レビュー
たねひ
何ともインパクトの強いタイトルだけど、文献を基に日本人の女性観や美醜にまつわる価値観の変遷を辿っていて興味深く読めた。時代が下るにつれて男尊女卑の傾向が強くなっていく様子も窺え、微妙な気持ちになる。著者の考えでは、仏教伝来以前の時代には長寿や武力をもたらすものとして「醜」に畏れを抱く考え方があったとか。確かに、イケメンや美女よりもブス・ブ男の方が勉強もでき、体力もありそうなイメージというのはあるかも。今後は「醜パワー」全開で行こうか…とも思うけど、やっぱり少しでもキレイになりたいな。
2014/10/26
kamome555
論、というだけあって、結構読み終わるのに時間がかかってしまいました。時代によりどういう顔が美醜の基準になったか、ではなくて、「醜」とみなされた人間がどう扱われたかが焦点になっています。文中に何度も出てくる「醜パワー」。ブスには長命、福をもたらすなど、「ぞんざいに扱うとヤバイもの」として扱われた時代もあったそう。「人は外見じゃない、中身だ」という道徳観で育ってきたはずの私も、気が付けば「太っているのは怠惰な証拠」とばかりにジムに通い睫毛にはパーマをあて歯の矯正も検討する日々。今後は醜パワー炸裂でいこう。
2013/01/09
songbird
☆☆☆
2020/03/21
出口求
吾輩はブスである。そのため本書を手に取ったわけですが、これは「ブスの顔」とか「ブスにならないために」というシュガーなネタは含まれていない。古代文献から現代にまで、ブスはどういう定義であったか、その歴史の変遷を出来る開け忠実に見て行こうという書籍です。古代は「醜」に怪力や神通力などのパワーが宿り、平安・中世で衰え、やがて現在のような超視覚オンリー分化においては「醜」パワーすらなくなっていきます。美以外には価値がない。そんな乱暴な区分はよくないんじゃない?という柔らかな提言です。
2019/08/22
ハイパー毛玉クリエイター⊿
濃厚なるブス研究専門書。書名はキャッチーで、読みやすい文体ではあるが、内容はぎっしりずっしり。平安時代の「美男美女リスペクト&ブ男ブスディス」は仏教思想に基く価値観である、という分析にハァなるほど!と膝を打った。そんな平安時代に颯爽と現れる、ブスの異端・末摘花…。個人的にはその辺りがとくに面白かったが、本書の研究対象は記紀神話から近世にいたるまでと幅広い。
2015/09/06
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