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オクターヴ (ちくま文庫 た 54-1)

オクターヴ (ちくま文庫 た 54-1)

オクターヴ (ちくま文庫 た 54-1)

作家
田口ランディ
出版社
筑摩書房
発売日
2007-05-01
ISBN
9784480423283
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オクターヴ (ちくま文庫 た 54-1) / 感想・レビュー

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リタ

失踪した友人ミツコを追って、マホはバリ島を訪れる。この本は、熱帯雨林の濃密な気配に彩られた彼女の七日間の記録です。いえ、これは彼女の記憶そのもの。それが果たして、妄想なのか、真実なのか、幻覚なのか、現実なのか。ひどく境い目が曖昧な幾つもの体験を通して、私はマホの魂が組み替えられてゆく様を見届けました。全てを記号で表す世界を超えて、全てをハーモニー(音)として感じられる世界へ。マホは、バリの七日間できっと七つの音を鳴らしたのです。ドからシを超えオクターヴ。私にはそれが、不自由な約束事からの跳躍に見えました。

2015/02/25

Shinobi Nao

3年に1回くらいバリに強く惹かれる周期があって、今もまさにその真っ只中。それなのにまだ一度も行っていないバリ。バリ熱が最高潮の時に偶然手にした本がこれ。こんなの読んじゃったらやっぱり行かなくては、と思うしかない。霊的なもの(幽体離脱とか、憑依とか除霊とか、そういう類のもの)はあまり信じていないというか霊感もないのでリアルに感じないけれど、神々の棲む島をとにかくこの目で見たい。

2015/08/28

Fancy Koh(旧SMOKE)

失踪した友人を探しにバリ島へむかうマホ。不思議な体験をへて、彼女は世界のことわりを知る。とてもスピリチュアルな作品。田口ランディの作品は代表作の「コンセント」をはじめ、世界とどうつながるかが主題になっている。そういえばゼロ年代ってとてもスピリチュアルが流行ったよなって読んでいて思った。オダのセリフ「人間は世界とせめぎあいながら生きていて、だいたいいつもひきわけています」が印象的だった。でもこの感覚もゼロ年代だよなあ。今はきっとだいたいいつもちょい負けなんだと思う。

2016/12/12

ev_ve

四季のない島では生と死が同時に起こっているという類の記述が印象的だった。自分が知らず日本の春夏秋冬を身の内にして生きてることに気づいて、舞台がこの島である理由に納得した。記号とハーモニーと選ばれた者と選ばれなかった者と、淡々と。オクターヴという題名、改題されたものということだけど私にはしっくりこなかった。

2011/04/19

Ken

田口ランディさんの小説。2002年の「7 days in BALI」を文庫化する時に大幅改稿し改題したらしい。失踪したミツコを探してバリまでやってきたマホ。あれだけ世間に注目されていながら忘れられていくミツコ。一般の人だけでなく親しい友だちや親までもが。僅かな手がかりをもとにバリ在住のオダと一緒にミツコを探すという物語。圧巻は音の描写で、二日目の朝にホテルの部屋から見た熱帯雨林からの無数の鳴き声、そして美術館でみたジャングルを描いた絵から聞こえてくる死のハミング。そしてこの人も哲学者タイプなのかな。

2014/12/13

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