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感光生活 (ちくま文庫 こ 31-1)

感光生活 (ちくま文庫 こ 31-1)

感光生活 (ちくま文庫 こ 31-1)

作家
小池昌代
出版社
筑摩書房
発売日
2007-11-01
ISBN
9784480423955
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感光生活 (ちくま文庫 こ 31-1) / 感想・レビュー

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pino

様々なコイケさんが登場する短編集。私は他人の事情に踏み込むのが苦手だ。知るのが怖くて一歩も二歩も引いてしまう。心理テストで「他人の秘密を知りたいと思わない」と答えたら「嘘つき」だと言われたことがある。様々なコイケさんは様々な人と絡む。隣人、記憶にない友人、男、女、市井の人。歪んで、粗削りで、誠実で、生々しい。夢ともうつつともつかない世界。甘やかな毒に骨抜きにされるのを怖れ、薄いガラスを張りながら読んだが、正直なところ見事に嵌った。踏み込んでしまったばかりにくだくだに砕けたガラスが美しく見惚れてしまう。

2017/08/15

kana

最初の「隣人鍋」がとても恐ろしくホラー短篇集かと思ったら、だんだんとエッセイテイストに。詩人のかくエッセイはいい!という今年の気付きを裏切らない素敵な出逢いに感謝。豊かな五感と想像力、繊細な言語感覚から紡ぎだされる研ぎすまされた作品たちに、終始魅了されます。友人に譲った万年筆が巡り巡って戻ってくる「青いインク」、村岡さんと桜の下、イタリアンの屋台でお酒を飲みかわす「蜂蜜瓶の重み」は中でもとてもお気に入り。《「感光生活」とは、光になる経験です。》という著者のあとがきを噛み締めながら、今も余韻に浸っています。

2012/09/19

辛口カレーうどん

別の本で、この方を知り、文章の美しさに魅了され、手始めにこの本を読んでみました。 言葉を紡ぐ、という表現がぴったりだと思った。繊細に、言葉の繭からするすると引き出した糸で色とりどりの糸を紡ぎ、更に美しい布を作るよう。豪華なドレスを作る布地ではなく、 シンプルな服装が、ぱっと華やぎ、センスよく見えるような、ストールにするのが似合う布地。 この短編集には、鳥がキーワードとして、よく出てきたが、自由の象徴であるがなんだか哀しげな鳥という存在が、よく似合っていた。

2014/05/10

tom

小池さんの本を続けて借りてくるようになったのだけど、彼女の作る話は、退屈しないのです。詩作から始めた人だからかもしれないけれど、文中で使われる言葉にしっかりと実体があるような気がする。気持ちの悪い登場人物(気持ちのよい人についても同じだけど)の気持ちの悪さが、私の体にからまってくるような感覚なのかなあ。よく分からないけれど、とにかく、この人の書く話は、妙に面白いです。

2014/06/05

suite

センター試験に採られていた「石を愛でる人」がいいなと思い、こちらを手に取った。彼女の作品の中でも高校生が読んで、というか、受験者が主に20歳手前の人々ですよということを公言して一番差し障りのない作品を選んだんだな……なんというか物や人の質感を余すことなく感じさせる艶かしい本でした。「蜂蜜瓶の重み」の蜂蜜瓶の描写が特に印象深かった。

2015/03/28

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