名短篇、さらにあり (ちくま文庫 き 24-2)
名短篇、さらにあり (ちくま文庫 き 24-2) / 感想・レビュー
藤月はな(灯れ松明の火)
日本作家が紡ぐ、幻と現実、過去と今がふとした瞬間に交じり合う一瞬を切り取った短編集。久生十蘭、吉屋信子の短編は既読。「華燭」は「僕は貴方のお嫁さんのことがずっと好きでした!」と暴露する男の話に待ち受けるラストに呆気に取られました。実は割れた頭蓋骨が脳に刺さっていたという男が衰弱する様を関西弁によってユーモラスな陰惨さで語った「ぼんち」や生活苦とそれでもしぶとい生命力を語る「家霊」も味わい深い。一番、心に残るのは「ある女の生涯」。自分の言動に怯え、周囲から狂人として蔑まれた女の末路とラストの清々しさに心佇む
2018/01/02
紅はこべ
『ここにあり』と比べて、心に残った作品は少なかった。敢えて挙げるなら、内田百閒、吉屋信子、巻頭作あたりが良かったかな。
2021/08/26
おか
錚々たる作家が並んだ短篇集。えーーーこの人がこんな作品を?あーーーやっぱりこの人らしい作風だなぁ とか そう言う意味でも楽しませて貰いました。今回は7月から始まる大好きな演劇人のワークショップで 自分が演じてみたい作品 若しくは 観てみたい作品 と言う宿題が出ていて 私は 観てみたい作品として 舟橋聖一の「華燭」を選びました。そしたら 自分で演じてみろ!と言われっちゃって、、、男役なのに、、、 この短篇集 一見の価値ありですよ( ◠‿◠ )
2019/07/07
メタボン
☆☆☆★怪談要素の強い作品が多かった。飛行機の中で霊の降臨を夢に見る「久生十蘭・雲の小径」狂った老婆「島崎藤村・ある女の生涯」電車から首を出して頭を柱に強く打ちつけ芸者遊びの中で死にゆく「岩野泡鳴・ぼんち」ガスの灯りかと思いきや首吊りの風景「吉屋信子・鬼火」犬の遠吠えが反響する「内田百閒・とほぼえ」。他、とんでもない結婚式のスピーチ「船橋聖一・華燭」掛け軸の絵・振袖を題材にどちらも味わい深い「川口松太郎・不動図・紅梅振袖」。永井龍男・出口入口、林芙美子・骨、岡本かの子・家霊、十和田操・押入の中の鏡花先生。
2021/10/03
KEI
北村薫さんと宮部みゆきさん選の12作の短編集。船橋聖一さんはこんな作品を書くのか?と、驚いた「華燭」の空気が読めないの男の祝辞。林芙美子さんの「骨」や吉屋信子さんの「鬼火」の女の哀しみ。内田百閒さんの「とほほえ」の不気味さ。川口松太郎さんの「紅梅振袖」の男の純情。時代を経ても名短編は変わらなと感じた。よくぞこの短編を見つけて来ました。巻末の選者のお二人の対談が面白かった。
2019/09/16
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