文藝怪談実話 (ちくま文庫 ふ 36-8 文豪怪談傑作選 特別篇)
文藝怪談実話 (ちくま文庫 ふ 36-8 文豪怪談傑作選 特別篇) / 感想・レビュー
藤月はな(灯れ松明の火)
まずは初っ端からの遠藤周作氏と三浦朱門氏の旅館での話の怖さに「これからどんな怪談が待っているのだ・・・・」と慄きました。語るのも憚れるほどの実話怪談もあって小野不由美さんの「残穢」の時と同じく、「知っても駄目じゃん、どうしよう!」と軽く、図書館でパニックになりかけました(泣)高橋氏の弟絡みの怪談や芥川龍之介の晩年を思い出させる怪談、淡谷のり子さんの背筋の凍るような人間関係の怪談も中々・・・・。
2013/03/23
tomi
東雅夫編による文人、役者、学者ら錚々たる顔ぶれ34名の心霊体験アンソロジー。遠藤周作と三浦朱門は新人作家時代に熱海旅行で体験した心霊体験をそれぞれが書き、佐藤春夫「化物屋敷」と稲垣足穂「黒猫と女の子」の幽霊屋敷もおそらく同じ体験談。泉鏡花ら大勢の文人が参加した怪談会で田中河内介の話を語った男が怪死した事件は、複数の証言が微妙に食い違っていて、結局真相があやふやな面白さもある。他に印象深かった怖い話は高橋克彦「この世に幽霊はいる」、淡谷のり子「私の幽霊ブルース」、浅原六朗「怖しい経験」あたり。→
2024/02/12
町歩き
期待以上に面白かった。名だたる文豪の体験した怪談が興味深いものばかり。
2021/05/08
三平
とっておきは怪談会に集まった文豪たちを恐怖のどん底に落とした田中河内介に関する怪談。怪談を語った人の悲惨な末路を様々な人が語っているのだが、微妙に描写が違って多くの人の前で実際に起きたこととしてより真実味が出ていて怖い。日本ホラー小説大賞の創設にも関わった恐怖譚好きの遠藤周作による実体験も掲載。あれだけ怖い思いをしてまた検証の為人を引き連れ再訪し、痛い目に合うとはどんだけ怖いもの好きなんだ(笑)。いつもの狐狸庵先生らしく努めて軽妙な語りをしているが冷汗がじわっと出る話だった。
2015/08/16
澤水月
小泉八雲、圓朝など明治の作家の記す怪奇譚から遠藤周作、三浦朱門が同時に体験した怪談、百ケンや龍之介、稲垣足歩、淡谷のり子まで! 圧巻は鏡花主宰の怪談会で死者が出てたくさんの実体験者がいる最強呪譚・田中河内介だが人により場所から年齢から状況までまるきりまちまちなのが興味深い。幾つかある化け物屋敷も似た環境が多くまさか同じ家?と想像するのも楽しい。唯1点、川端康成が要らなかった…連載小説の一部だわ誰でも知ってるナルシスや飴買い幽霊の話だわ無闇に長いわでこの実話怪談本のリズムを崩している。なぜ入れたんだろう?
2013/02/21
感想・レビューをもっと見る