源氏物語 第6巻 (ちくま文庫 お 39-9)
源氏物語 第6巻 (ちくま文庫 お 39-9) / 感想・レビュー
ゆか
いよいよ最終巻。とはいえ光源氏はすでに亡くなっているので、物語としては長いエピローグを見ている気分。確かに彼の本当の血を引いている匂宮の方が光源氏に近く、血縁とはそういうものなのかもしれない。2人の間でどうする事も出来ずにオロオロしているばかりだったヒロイン。したたかさがなければ長寿にはなれなさそうな時代。女性にとっては本当に窮屈な時代に、この物語を書いた女性は凄いと思える。
2018/03/25
アルピニア
11ヶ月かけてついに全巻読了。宇治十帖は薫や匂宮の身勝手さや狡さ、浮舟の気弱さにじりじりしながら読んだ。最後の二帖「手習」「夢浮橋」では、浮舟の精神的な成長が感じられ、先日読んだ河合隼雄先生の解釈が少し理解できた。ハラハラしながら読み進めたが、最後はなんともいえない終わり方。あなたならどうしますか?と問われている様な気がした。今とは女性の立場がだいぶ異なる中で書かれた物語であるが、その根底にある自我の芽生えというテーマが読者の心を捉え続けてきた所以なのだろうと改めて思った。
2016/12/01
あいくん
☆☆☆☆宿木、東屋、浮舟、蜻蛉、手習、夢浮橋※源氏物語の完結部分です。宇治十帖の後半です。薫、匂宮、浮舟が中心です。女房の右近と侍従も活躍します。大君が亡くなって、薫は「たとえ身分が低くても大君に似た女なら」と思っています。宇治十帖では、コミュニケーション不在、心のずれがテーマの一つです。薫は「自分は何がほしいとのかわからない」「失ってはじめて執着が増す」という性格も明確になっていきます。源氏物語最後の女主人公の浮舟がいよいよ登場します。
2017/02/12
のんき
最終巻。「ひかりナビ」のおかげでここまで来ることができました(何度も出てきてくどいと感じる説明もありましたが)。 源氏物語ってこんなラストだったんだー。薫イヤだけど、これじゃ救いが無さ過ぎて気の毒になってくる、なんともいえない奇妙な余韻(というより残り香か?w)が残ります。
2010/02/03
桑畑みの吉
大塚ひかり訳『源氏物語』はこの第6巻をもって完結。前巻から続き、光源氏亡き後の子供たちが3姉妹を巡って恋の鞘当て演じる「宇治十帖」と呼ばれるパートとなる。【以下全巻を通じて】あまりに複雑な人間関係や当時の風習・価値観故に取っ付きにくい物語であったが、帖ごとに登場人物の相関図が示され、随時「ひかりナビ」と称する詳細な解説が挿入されているので何とか最後まで読み終えることが出来た。華麗な宮廷絵巻的恋愛物語のイメージがあったが、権力者たる男性の欲望や強引さに翻弄される女性の心の揺れが印象的な作品であった。
2023/08/28
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