ちくま日本文学018 澁澤龍彦 (ちくま文庫)
ちくま日本文学018 澁澤龍彦 (ちくま文庫) / 感想・レビュー
優希
エッセイや幻想譚の数々。エロティシズムさえも美しく感じました。
2022/02/08
いりあ
澁澤龍彦の小説やエッセイを集成したもの。一般的にはマルキ・ド・サドを始めとする海外のポルノグラフィを日本に紹介した人というイメージでしょうか?"空飛ぶ大納言"や"高丘親王航海記"のような小説はいつでも読者を夢幻の世界へ誘ってくれます。多少エログロな傾向はありますが、ぜひ読んで欲しい作品がたくさんあります。"サド侯爵"や"反社会性とは何か"などのエッセイは読者に新しい世界への扉を開いてくれます。とにかく著者の博識には驚かされます。こんな凄い人が一般にはあまり知られてないとか日本はおかしい。
2015/09/06
ラウリスタ~
澁澤は僕にとってはさして尊敬すべき作家というわけでもないのだけれども、諸般の事情から一定の敬意は払わねばならない作家ではある。日本の中世を舞台にした物語とかはそれなりに面白いし、ウニの死骸についてのエッセイはなかなか興味深い。澁澤の興味の対象が日本でのユイスマンス読解に強烈なバイアスをかけて来たこともまた、確かめられたけれども。養老孟司のあとがきも面白い。若き日の澁澤は作品には似合わず、気弱そうで、優しげな青年だったと。そんな青年が、サドとかにハマるのもわからんでもない。
2014/03/31
蛸
小説からエッセイ、評論に至るまで澁澤龍彦の仕事に幅広く目配せの効いた一冊。文章中で扱われているモチーフが連関するような選定がなされているため連作短編のように読むことができる。個人的には収録作品の中では『愛の植物学』が印象的。サドの作品と『とりかえばや物語』の裏には博物学的=カタログ的思考様式が共通しているという部分に膝を打つ。視覚は聴覚と違って順序がなくて全てが並列的だという養老孟司の解説も面白い。言われてみればこの本の中にもそのような方法で記述されている作品が幾つかあった。澁澤龍彦はやはり面白い。
2017/02/27
かい
現代でいうところのファンタジスタ成通が登場する「空飛ぶ大納言」、狐を生んだ妻と激しく嫉妬する夫「狐媚記」、比較文学の模様で『とりかえばや』を分析する「愛の植物学」が気に入った。澁澤さんの作品は隠れて楽しんだ方がいいかもしれないと、初めて知った。
2009/05/11
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