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ちくま日本文学021 志賀直哉 (ちくま文庫)

ちくま日本文学021 志賀直哉 (ちくま文庫)

ちくま日本文学021 志賀直哉 (ちくま文庫)

作家
志賀直哉
出版社
筑摩書房
発売日
2008-08-06
ISBN
9784480425218
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ちくま日本文学021 志賀直哉 (ちくま文庫) / 感想・レビュー

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ころこ

文章が上手いと評されるのは、手数を掛けずに二者関係(クローズアップ)をつくるのが上手いため、読者が小説世界のフレームワークをつかむのを容易にしているからでしょう。後半にエッセイがありますが、小説とエッセイの区別が無いということと、作品の評価が表裏の関係にあると思います。つまり、話の展開が乏しく構築性が無い、という否定的な評価は自然な文体と共にある特徴で、良くも悪くも泰然自若としている作者の態度そのままと映ります。ジェンダー表象に嫌悪感を持つのも、時代的な表現というよりも作者の開き直りに理由があります。

2022/04/23

カブトムシ

この文庫本は、新しい編集で志賀直哉の文学を全体的に紹介しています。2008年に初版が出ています。日本文学全30巻の一つです。私は中国で日本語を教えていました。ある女子学生が卒業論文を志賀直哉でやりたいというので、この文庫本をお貸ししました。その後、論文が出来上がって、返してもらいました。すると、新しい本だったのがボロボロになっていました。よく勉強してくれたのが、嬉しかったです。中編や長編は割愛して、短編のみが編集されています。今日は「沓掛にてー芥川君のことー」を再読しました。沓掛は、軽井沢の昔の地名です。

2019/07/31

燃えつきた棒

「速夫の妹」、「城の崎にて」、母の思い出を描いた「白い線」、芥川との交流を描いた「沓掛にて」などが心に残った。 「城の崎にて」を読んで、父の最期を想い出した。 数多の死を目にしてきたであろうかつての帝国軍人も、その瞬間恐怖に捕らわれたようだった。 父は自らの死期が訪れたことを知ると、「死ぬんだ。死ぬんだ。」と叫んだ。 母のために永らえんと自らを律し、93歳まで生きた父。 最後まで父の言葉が僕の胸に響くことはなかったが、骨壷の中の父の骨はずっしり重かった。

2017/08/02

だてまき( ˘ω˘)スヤァ

『城の崎にて』を含む名作短編26編。無駄がなく冷静な文体。リズム感がよくイメージしやすく完結で、お手本のような文章。なんでもないような瑣末な出来事を、ここまで完成度の高い「小説」として仕立て上げる技術は、さすが「小説の神様」。なかでも『剃刀』が気に入った。仕事に妥協を許さない職人の心に、発作的に生まれた狂気。職人の悪意なき衝動を淡々と描いたこの作品の最後は、背後からひっそりと冷たい刃を押し当てられたようだった。殺意の有無を問題にした『范の犯罪』は、作中で判決が出てなお、自分の中では答えが出せずにいる。

2014/07/14

にゃん

読みともさんの「剃刀」の感想が素晴らしくて恥ずかしながら、はじめて志賀直哉を読んだ次第です。ほんとに恥ずかしいことに、こんなに読みやすく、かつ、面白いことに驚きました。「剃刀」はもう、始めっから何かありそうな緊迫感が凄いし、「小僧の神様」「網走まで」も、声に出して読みたい美しい文章。切ない内容に心打たれました。他作も読んでみたいです。

2019/07/21

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