我もまた渚を枕: 東京近郊ひとり旅 (ちくま文庫 か 3-13)
我もまた渚を枕: 東京近郊ひとり旅 (ちくま文庫 か 3-13) / 感想・レビュー
ホークス
東京周辺の街を歩く旅のエッセイ。元本は2004年刊。川崎、鶴見、寿町、本牧辺りは昔の職場に近く、大人向きの侘びた街を感じる。千葉方面はまた毛色の違う荒さがあり、一人旅に似合う気がする。どのエリアでも、少し離れただけで違う個性の街が現れるのは不思議だ。様々な人を癒す「隠れ里」として、街には無数の横丁や店が繁茂し、新しい街にも容易に発生する。著者は「隠れ里」を見つけては「今夜はここに決めた」と呟く。露店の番をする老人や場末の潰れかけた店に街の過去を見る。こんな街歩きができる人に憧れる。
2018/01/28
Yutaka Matsuzawa
東京近郊の千葉、神奈川、埼玉の街を一泊ひとり散歩旅で巡るエッセイ。私も街歩きが好きなので、観光地でもなく、なんでもない町の通りを歩き、日々の暮らしを感じたり、表通りの裏にもうひとつの町を発見したりするのが楽しいに共感。しっとりとした抑えた文章の街歩き、楽しかった。◎
2018/02/11
kuukazoo
東京近郊平日一泊旅行。観光地でもない普通の町に映画や文学との関わり。開発から取り残された昔ながらの表情を残す風景。そんなものたちを求めて歩く。日帰りでも行けそうなところばかりだし、いつかふらっと行ってみたい気にさせられる。
2015/01/16
シュエパイ
まさか鶴見がでてくるとは、と驚愕しつつ手に取りました。うん、冒頭の感想、すっかり私と同じだ(笑)そうなんだよなぁ、鶴見って、川崎っぽくないし、ましてや横浜っぽくも無いんだよなぁ。そのせいで、今だに私、鶴見区より前の住所に、違和感しか感じられないよ(笑) 鶴見川沿いのスポーツセンターも、第二京浜にいたるみちも、国道駅も、全部わかりすぎて困る♪
2011/09/17
西澤 隆
単行本が出た2004年はとうにバブルは去って空白の十年も過ぎ去った頃。たとえば浦安の項ではザウスの取り壊しなんかも語られる。だけど手触りは今の東京近郊散歩ではなくあきらかに「懐かしの日々」。僕が物心ついた頃にはそろそろ高度成長も一段落で昭和は確立された頃。すごくいろいろあったのは歴史の昔で今は紆余曲折あってもそれなりで振れ幅がちがう。そんな思いでいたけれど、振り返ってみれば自分も「歴史の中」を生きてきて、自分がついこの間だと思う頃だってもうずいぶん昔なのだなあと、そんなことを強く感じたエッセイなのでした。
2018/11/12
感想・レビューをもっと見る