チェーホフの戦争 (ちくま文庫 み 20-3)
チェーホフの戦争 (ちくま文庫 み 20-3) / 感想・レビュー
zirou1984
劇作家でありNHKの戦後サブカルチャー史も担当した著者による、チェーホフ4大戯曲の私的読解本。戯曲というものは芝居化の際の解釈の余地を残すために隙間風だらけな場合が多いのだが、そんな穴ぼこをどんな風に埋めればよいかを解きほぐしている。土地という観点から喜劇性を見い出していく「桜の園」の解説は白眉であるが、47歳中年男性という視点から淡々と語られる「ワーニャおじさん」に対してはどういう表情をすればいいかわからないの。全体として軽妙でありなら巧妙でもあり、戯曲の魅力や自由さを味わう入門書としてとても良い内容。
2015/11/30
しゅん
不動産/女/47歳/戦争。チェーホフ四大「喜劇」の「戯曲」の読解からそれぞれのキータームを抽出し、現在との接点を見出す。『ワーニャおじさん』のワーニャに肉体性が欠けているという指摘は新鮮だけど実感が湧かなくて、もう一度読んでみようと思ったり。
2019/03/05
あなた
「ワーニャの47歳の身体性」という本書の白眉ともいえるワンフレーズが47歳であった宮沢章夫から発せられるとき、わたしたちはにわかにここで演劇そのものの身体性が民主化され、脱臼されたその瞬間にまざまざとたちあうこととなる。それは機能=運動することも、象徴になることも、代行することもあきらめた「だらけた」身体である。ハムレットに限界があるとすれば、身体的に他者論を考えすぎた結果、ついぞ「だらけ」られなかった点だろう。彼は、「直立する」悩めるひとなのである
2009/08/27
ヒ
人が戯曲を読むときどこに着目するのかを知ることができた
2019/02/17
工藤 杳
47歳
2018/06/11
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