図書館の神様 (ちくま文庫 せ 11-1)
図書館の神様 (ちくま文庫 せ 11-1) / 感想・レビュー
へくとぱすかる
ひとり文芸部、という状況を苦にせず、ひたすら活動を続ける垣内君。「私」と同じような部活動での経験が、彼をそのようにさせたのだろうか。いやもっと積極的に考えたいものだ。最後に「私」も高校時代のしがらみから救われるが、物語は表面的には明るく、それでいて何となく殻を脱しきれないもどかしさの中で一年が流れていく。「これって青春ですか」というセリフは、この物語世界全体について、問いかけているような気がする。タイトルは「神様」だけど、わたし的には「図書館の仙人」になりかけて、それを放棄し、別の道で成就する話に見える。
2014/12/30
しんごろ
高校の顧問と部員1人しかいない文芸部の話!2人とも過去に心に傷があり、先生なのに生徒っぽいというかガキっぽい清(きよ)に、生徒なのに大人っぽい垣内くんのふたりのかけあい、やりとりが、妙に心地よかったです(^^)1年間の2人っきりの文芸部活動が、2人を成長させて、特に荒んでる清が再生していく姿にほっこりしますね(^^)垣内くんが、ホントに高校生かよ!と思う発言、言葉は読んでる側にも、心に染みる名言です(^^)短篇『雲行き』は義父と娘の間の複雑な気持ちがうまく、これから仲良くなるのかなと思う作品でした(^^)
2016/09/28
zero1
清(きよ)は高校の国語講師で不倫していた。過去にいたバレー部で事件があり、そのことがトラウマに。学校ではそのバレーではなく何故か文芸部の顧問に。部員は垣内ひとり。無知な清に比べ冷静で優秀な垣内。互いに過去の傷については触れない二人。「僕は毎日違う言葉をはぐくんでいる」(P50)は名言。瀬尾は実際に9年間、一年契約の講師で教壇に立ち採用試験を受け続けた経験がある。試験に落ちることが作品の肥やしになっていた。再生の物語を描くには、挫折を知っている作家でなくては。読むのは4回目くらいだが何度でも再読したい一冊。
2019/03/11
馨
『図書館の神様』と『雲行き』の二編。どちらの主人公も頭痛持ちで、私も頭痛持ちのため即共感しました。表題作では文芸部の垣内くんが魅力的過ぎてこんな大人な学生いるわけがないと思いつつも垣内くんから文豪の作品から文学の楽しみ方を色々教えてもらった気がします。文学の楽しみ方なんて人それぞれで良いのだな。雲行きの義父とのやりとりも可愛かったです。大きな波の来る話はなかったですが、こういう静かでゆったりしたストーリー好きです。
2019/05/08
HIRO1970
⭐️⭐️⭐️瀬尾さんは6冊目。薄い本なのですぐ読めます。今回は珍しく、もうひとつな感じがしました。大分、瀬尾さんに慣れてきたのでしょうか?次回に期待します。
2016/09/15
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