折口信夫集: 神の嫁 (ちくま文庫 ふ 36-13 文豪怪談傑作選)
折口信夫集: 神の嫁 (ちくま文庫 ふ 36-13 文豪怪談傑作選) / 感想・レビュー
KAZOO
折口信夫については「死者の書」とか、万葉集についての評註などしかあまり読んだことがないのですが、この本を読んでやはり民俗学についてはかなり見識があることがわかりました。「稲生物怪録」は脚本仕立てで面白く、そのほかにも「むささび」も同様でこのような作品も書いていたのかと感じました。また「鬼の話」「河童の話」「座敷小僧の話」などは、民俗学の分野ですね。
2015/03/20
井月 奎(いづき けい)
「鏡花との一夕」と「神の嫁」をつまみ読み。鏡花との思い出話の「鏡花との一夕」は私にとって楽しい読み物です。鏡花と折口、ともに病的な潔癖症で怪異に見せられた者ですが、自らの心の底からお化けを連れ出した鏡花とフィールドワーク、旅の道すがら神々を見だした折口の会話はどのようなものだったのでしょう?「神の嫁」は『死者の書』の原型をなす物語で、藤原豊成の娘が疫病を収めるために自らが贄となろうとする物語です。これに魅力を感じつつもしっくりこなかったのでしょう、この作品を中絶して、かの神品、『死者の書』に着手します。
2020/01/03
藤月はな(灯れ松明の火)
京極夏彦氏が「文体の妙がたまらない」と絶賛する「死者の書」はさわりだけですが死しても意識がある大津皇子の語りにシュレディンガーの猫のようなパラドックスに眩惑されつつも何度も引き込まれます。「生き口を問う女」などの絶品怪談のほとんどが未完の作品が多いのが本当に惜しいような完全でないからこそ考えられる不思議の広がりにホッとしたような複雑な気分になります。地域ごとの河童の研究や信田狐の説話から分かるパターン、様々な怪談の表現法についてなどの考察も興味深かったです。
2013/03/21
nora
怪奇幻想小説の傑作である「生き口を問う女」、「神の嫁」、「死者の書」、怪談についての民俗学的論考の「鬼の話」、「河童の話」、「信太妻の話」、そして太宰治や泉鏡花との交流を綴ったエッセイの載った、文豪怪談傑作選シリーズの掉尾を飾る重厚な作品集。
2009/11/09
らむだ
小説・戯曲。演劇・古典文学の論考。幽霊・妖怪の論考。エッセイ・講演・詩という構成で編まれている。読みやすくまとめられているので、折口信夫入門としても怪談・民俗学入門としても必読の一冊。
2024/01/14
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