ねにもつタイプ (ちくま文庫)
ねにもつタイプ (ちくま文庫) / 感想・レビュー
風眠
言葉の選択に対して、様々な方向から考える翻訳者という職業柄か、今、目の前で起こっている出来事や、過去に経験した事を、いろいろな方向から見て、思い出して、時に妄想も入りながら、考えることができる人なんだなと感じた。たとえ妄想であっても、考えを広げて、いちいち驚いたり怒ったりしながらも、こんなにも笑える文章の形に整えられるのって、やっぱりすごい。タイトルの『ねにもつタイプ』ってきっと、根っこに人とは違う何かを持ってる、って事なのかも。選び抜かれた言葉と妄想が爆発しているエッセイ。くせになる面白さ!
2014/10/01
kei-zu
雑誌「ちくま」の連載のエッセイ、書籍化の第1弾。実は、この後に書籍化された「なんらかの事情」「ひみつのしつもん」を先に読んでいた、 本書を読み始めるがもったいなく(最後の1冊!)、「なんらか」「ひみつの」をそれぞれ読み返しましたよ(わかるでしょ)。 滑らかな語り口、奇妙な視点、意外な展開。ゆっくりゆっくり、もったいないと思いながら、読む。 ラジオの出演では、あんなに知的な話しぶりをされる著者が、どうしてこんなに不思議な世界を描けるのか。いやそれは知的であるから故か。
2021/01/03
buchipanda3
エッセイ集。でも、およっ、これがエッセイ?!、と思わせられるほど奇妙で病み付きになる世界を味わえた。まるで掌編小説。最初のニグの話がいい。素朴で懐かしい。でもその後、素朴さはタガが外れていく。ドンブラコッコスッコッコ、リズミカルな言葉に踊らされ、空想、妄想、ただの勘違いの話にズルズルと。シュールなネガティブ思考がニヒルに鼻の穴を広げてふっと昇華されるような話。でもその感性は嫌いじゃない。ゴンズイ玉って嘘かと思ったよ。そんな虚実混合の世界が、クラフトエヴィング商會さんの追い打ちボケでいい感じで締め括られる。
2021/02/14
オリックスバファローズ
講談社エッセイ賞受賞作品 郵便局で横入りしてきたおばさん相手に脳内で闘いを繰り広げたり、訳文に悩みつつも気が散っていく様を分刻みで実況したり、高校生の頃のパン屋さんと文通した思い出を綴ったり。脳内の妄想や記憶をテンポのよい文章で再現していて、きわめて冷静な筆致で綴られるところが、かえって笑いを誘う。 毎回ぐっとくるのは最後の一文。その一行が気の利いたオチになっているばかりでなく、全体をぐっと引き締めていて見事。どんなに空想を広げても決して遠い目のままでいるのでなく、きっと視点を見据えて終わるクールさがよい
2019/05/24
chinayo
エッセイ本。幼少期より個性的な人だったんだなと感じた。昔のことをちゃんと覚えてるのが、面白い。
2017/03/14
感想・レビューをもっと見る