北一輝論 (ちくま文庫 ま 35-6)
北一輝論 (ちくま文庫 ま 35-6) / 感想・レビュー
Ikuto Nagura
昭和50年頃に北一輝ブームがあったなんて初めて知った。きっと、当時の新左翼の行き詰まりと関係しているんだろう。そんなブームの中で書かれた清張の北一輝論は、かなり辛辣。昭和維新の思想的支柱として226事件を指導したなんていうのは全くの虚像で、単なる政治恐喝屋だったと切り捨てる。何でこんなに批判的なのか考えると、本書前半で分析される『国体および純正社会主義』の「乱臣賊子論」が、実は清張の歴史観に影響を与えたからではないかと邪推してみる。若き北の慧眼が、労働者・農民に向かなかったのを惜しんでるんじゃなかろうか。
2015/11/26
bittersweet symphony
前半は北の著作を批判的に検証、後半は刑死するまでの北の動静を批判的に追いかけたもの、要するに三島の自決などで過大に評価されていたらしい二・二六や北に対する評価の揺り戻しを企図したものであったようです。 個人的には二・二六の青年将校たちが持っていた主に東北の貧困層に対するシンパシーについて北については松本が明確に否定しているところが今までに持っていた認識と食い違っていてちとショック。何となれば、そこが北に対する(広くは戦前右翼に対する)評価の寄って立つところという感を持っていたので。
2014/11/20
ダージリン
北一輝は、昔、手塚治虫の一輝まんだらを読んで以来関心を持っていたのだが、どうにも掴み所がない。具体的に彼は何を目指していたのだろうかが良く分からない。他の人の本も読んでみたいところだ。
2011/09/20
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