夜露死苦現代詩 (ちくま文庫 つ 9-7)
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夜露死苦現代詩 (ちくま文庫 つ 9-7) / 感想・レビュー
lily
このような無名の人の共鳴する言葉を欲しているし、交換したいし、欲を言えば私の言葉だって誰かに届けたい、共有したいと思っている。この場も書物についての現代詩集であるかも。それぞれの詩の星が誰かの心に光り導く。隣の星はアレン・キンズバーグ。
2020/11/09
つねじろう
珍日本紀行の写真家として知ってた。良い写真、面白い写真撮るなぁって。その乱雑だったり猥雑だったりする写真の勢いや、生活感に富んだ絵は色んな事はあるけどしっかり生きてるパワーを感じた。この本で作者の詩や唄の感じ方に触れて、そうかこの人は感度の高い受信機を持った人間だという事がわかった。で尚且つそれを自分で中途半端に弄ったりせずに自分の感じるままに提示する。標本?展覧会?それは結構強烈な破壊力があったりする。そう自ら生み出すアウトプットは無理でも自分の感じた物を展示する事で自己表現する可能性の広がりを感じた。
2015/12/23
怜
まさに、世界は言葉でできているを感じる一冊。下手な詩集より「生」が息づいている。
2015/02/07
踊る猫
読み返してみて、あらためて本書が持つ「力」について考える。この本の中では極めてセンシティブにかつ丹念に、アカデミズムに代表される狭い意味での「現代詩」にとらわれない生々しい「言葉」が掘り起こされる。その着眼点の鋭さや意外性、そしてその掘り下げの深さや真摯さにいま一度打たれる。この本を詩や文学を愛しているぼくは「やはりあなどってはいけない」と思った。むろんここから異論を差し挟むことも可能だ(たとえば「既存の詩」を矮小化しすぎていないか、と)。そうした「物議を醸す」きな臭さこそ、新たな議論に向かう「力」だろう
2023/08/18
Tui
おなじみ点取り占いから、死刑囚による獄中句、湯呑みの説教詩、特攻服の刺繍などなど、よくもまあ見出したものだ。VOW的なネタの寄せ集めかと思ったが、けっこうシビアなエピソードもあり意外と硬派な語り口。ラップやヒップホップを現代詩とする捉え方に頷けはしますが、歌詞を掲載されてもすみませんそこは流し読み。強く印象に残ったのは、かつて歌謡番組で、前奏にのせて語られていた玉置宏のナレーション。「花にそむいて旅から旅へ 涙を抱いた渡り鳥…」たった数十秒のあいだに歌の世界へといざなうマジック。これこそ天才の詩芸。
2015/07/29
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