昭和維新の朝 (ちくま文庫 く 10-3)
昭和維新の朝 (ちくま文庫 く 10-3) / 感想・レビュー
かふ
斉藤史の父、斎藤瀏を通して見た昭和維新史ということか。2.26事件は半分ぐらい読んでやっと出てくる。斎藤瀏の半生というような本なのだが、斉藤史は父親だから感化されていくのはわかるが、著者に批評精神がないので斎藤瀏の軍国主義をなぞるような本になっている。ちょっとがっかり。あと幼馴染のクリコ(男、栗林中尉)は感情的に成りすぎて、松本清張の安藤中尉とは対象的だった。そういうところも物語的な本なのかもしれない。憲兵調書はカタカナの文語ではなく、易しい口語に置き換えているので、そこは読みやすかった。
2024/01/04
じろう
斎藤瀏の2.26への関与がそれほど深いものではないので斎藤家を描いたものか2.26を描いたものかやや中途半端な印象を受けた。
2017/12/24
勝浩1958
「暴力のかくうつくしき世に住みてひねもすうたふわが子守うた」主人公のひとり齊藤史の歌であるが、とても恐ろしく意味深い歌である。 暴力のかくうつくしき世とは、二・二・六事件に決起し、要人を暗殺した青年将校にとって、あるいはその行為を支持する者たちにとってはうつくしいかも知れないが、暴力は決してうつくしくはないはずだ。史はそれを敢えて歌に詠むことを懼れていない。相当な覚悟がいることであっただろう。そこに彼女の強靭な精神を視る。それにしても、短歌とはこんなに美しく私の胸に響くとは・・・。
2011/10/13
ka-ko
教科書でしか知らなかった2.26事件。斎藤瀏の娘史さんを通して2.26事件の決起者達の思いが伝わってきました。精神的にも金銭的にも援助した父瀏の気持ちもわかりましたが、歴史は情熱をむなしくさせるものなのかということを考えさせられました。
2013/10/14
廊下とんび
2月になると毎年2.26事件関連の書籍が出る。そんな本をすべて買って読む習慣がもう十年以上続いている。この本は皇道重鎮将官であり歌人でもあった斎藤劉の娘、同じく歌人である斎藤史から観た2.26事件という斬新的なもの。史と栗原中尉は幼馴染でもあった。 の真中に弾丸をうけたるおもかげの立居に憑きて夏のおどろや いのち断たるるおのれは言はずことづては虹よりも彩(あや)にやさしかりにき 天地にただ一つなるねがひさへ口封じられて死なしめにけり 天皇陛下万歳と言いしか
2010/08/25
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