幸田露伴集: 怪談 (ちくま文庫 ふ 36-15 文豪怪談傑作選)
幸田露伴集: 怪談 (ちくま文庫 ふ 36-15 文豪怪談傑作選) / 感想・レビュー
KAZOO
幸田露伴はやはり漢語が多く、読むのに時間がかかります。幻談と観画談は昔岩波文庫で読んだ覚えがあります。若干泉鏡花に内容的には似ていますが文体はまるっきり異なります。このような幻想的な作品をかなり書いていたのですね。私はあまり多くは読んでいないのですが、せいぜい五重塔などくらいですね。
2015/03/31
藤月はな(灯れ松明の火)
「魔法修行者」は憑物使役者についての考察だったので大学で調べた者としては知っている知識や偉人の例などが提示されていて興味深かったです。特に鬼女の説話、伊勢物語、小栗判官の逸話や九相図などを連想させる「対髑髏」は文語体だからこそ醸し出すことのできる幻想の妖艶美に陶然とするしかありません><
2013/03/30
Ribes triste
風太郎のエッセイに触発され、再読。博覧強記の露伴の文体は、現代文に慣れ過ぎた頭には取っ付きにくさこの上ありませんが、一度ハマると自然にするすると頭に入ってくるから不思議です。まるで講談をきくように、異世界に連れて行かれる感じが好きです。『幻談』が口述筆記であると、風太郎のエッセイにありました。それを知って、改めて読むとビックリです。
2016/11/11
ハルバル
編者の言うように文章の細部に拘泥せずその名調子に身を任せ、おおよそのニュアンスだけでも楽しめる。「土偶木偶」は主人公の風来坊振りと意固地によって起こる道中の波乱が非常にエンタメ的で面白いし、「対髑髏」の業病ゆえの悲劇の美女との一夜の邂逅と空けての乞食女の凄まじき容貌などは漢字表記あってのものだと思う。浦島次郎百世が魔道に帰依する「新浦島」も奇想天外で実に巧み。とはいえ露伴氏、只不思議よりは虚実ないまぜが好みと見えて、段々エッセイ風小説へと傾いていき「幻談」という傑作が。それにしても半生分は漢字を読んだな。
2018/04/04
あぶらや
読み終わるまでずいぶんと時間がかかってしまった。 理由はひとつ、つまらなかった訳ではなく文体です。 ふだん口語体でしか文書に接していないのに、文語体で漢文がちりばめられている文章は非常に骨が折れました。 でも最後まで読みきる事が出来たのは、難解な表現の中にも引き付ける話を見い出す事がたくさん有り、かつその文体ゆえの音感が心地良かった事が有ります。
2015/12/17
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