暴力団追放を疑え (ちくま文庫 み 29-2)
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暴力団追放を疑え (ちくま文庫 み 29-2) / 感想・レビュー
鬼束
暴追法の下に暴力団であること、それ自体を悪としてみなすようになった社会。暴力団員達はますます表世界から裏世界へと沈潜していく。未来に訪れるのは密入国したマフィアやブローカー達が跋扈する、これまで以上に危険な状況だと著者は警鐘を鳴らす。そのような状況が実際訪れるかどうかは別としても、社会の除け者にされ、選択の余地なく暴力団員となった人々にも生きる権利はあるという、著者の言葉には同意できる。彼らを必要悪として組み入れて来た従来の社会に立ち返ることは今更無理だが、このまま彼らを圧殺してしまうことも出来ないはずだ
2013/10/06
おくら
作者の親父は暴力団である。グリコ森永での警察への恨み。それを起源としてヤクザ擁護、反警察の思想は根強いが、「ヤクザ側の言い分」として見るとその論理を知ることができる。①ヤクザは町のヤンチャ坊主の受け皿として治安維持にも役立っている(直接的にヤンチャ坊主を預かる意味と、町のヤンチャ坊主を取り締まる2つの治安維持に貢献している)②警察の検挙率向上への貢献(犯罪にはヤクザとつながりやすい。ヤクザに聞けば犯人逮捕への有料情報を得られる)③震災、原発事故などの援助等庶民への貢献もしている。とはいえ犯罪集団である。
2013/08/19
minorU
エスニック・クレンジングとしての暴排をいうこと。 権力が暴力装置を統一的に管理することを指向していること。 暴排以降、すべての駅前にパチンコ屋が出来ていて日に日に立派になっていっていること。 駅前ソープが潰れないこと。 コンビニから実話系週刊誌やらがなくなっていること。 今生きているということ。 そして隠された悪を注意深く拒むこと。
2013/01/15
sai
「敵」を設定して徹底的に攻撃すると簡単に市民の支持が得られる。例えばヒトラー、小泉純一郎、橋下徹、事業仕分けetc.そして警察。ヤクザを退治(地下に潜って見えなくなるだけ)した後次の社会の「敵」は誰か?外国人、前科者、生活保護受給者、老人……次の「敵」は我々かも。悪人は捕まえればいいが、法律が曖昧で、生きてるだけで犯罪者になるヤクザは悪人なのか。論理の展開の仕方は粗いが、心は伝わった。筆者の言うように日本はどうにもならんのかも。
2012/01/16
ピラックマ
概ね同意。ヒトは所詮清濁併せてナンボだと思う。他のレビューにもあるように排除=警察の利権は?感。パブリックな突っ込みどころはそこしかないのかもしれないが。
2011/10/01
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