小津ごのみ (ちくま文庫)
小津ごのみ (ちくま文庫) / 感想・レビュー
さらば火野正平・寺
【まいにち小津安二郎】最近、読友さんのお陰で、小津安二郎の映画にはまっている。現存する作品の半分観たので、そろそろ小津論のような本を読みたくなった。中野翠の本書はちょうど相応しい内容だった。私には中野さんみたいな着物や「いき」や落語を好む江戸っ子気質は無いのだが、良いと思う作品や悪いと思う作品がほぼほぼ一緒で驚いた。私も『宗方姉妹』や『風の中の牝鶏』といった、田中絹代が出る作品はイマイチだと思うし、『東京暮色』もイマイチだと思う。そして『淑女は何を忘れたか』は素晴らしいと思う。敷居が低くて嬉しい監督論。
2021/07/22
踊る猫
読ませる文章が揃っている。私は無粋な人間なので小津のファッションにはチェックが至らなかったのだが、この書き手は小津のセンスの良さを丁寧に拾ってみせる。愛情に裏打ちされた批判も読み応えあり。隠れた名著……というのは失礼だろうか。俗に言う教養のあるシネフィルばかりが小津を語れるわけではない(むろん、中野の教養も相当なものだが)。もっとこの著者の映画トークを聞いてみたくなった。私は男だからか、この本に関してはどうしても中立的な意見を言えそうにない。思い浮かぶのは「女性ならでは」「女性だからこその」といった言葉だ
2021/03/10
みつ
再読。読書記録では12年前の「晩春」から「麦秋」(いずれも、小津監督の代表作の名でもある。)に移るこの時期一旦読み終え、以降、好きな箇所を何度も読み返した本。今年彼の生誕120年、没後60年ということもあり(60歳の誕生日に死去)記録することに。「何でもないことは流行に従う。(中略)芸術のことは自分に従う」を信条とし、著しく特徴的な映画スタイルを貫いた彼の「好み」について、ファッションや画面構成を中心に述べる。特に前者は、闊達なスケッチと相まって、その魅力が伝わってくる。セリフについても新たな発見あり➡️
2023/05/03
カタコッタ
小津映画の見方が、自分と同じ目線を感じ、小気味好い切れ味ある文章と相まってとても愉快で楽しくよんだ。 『中野翠ごのみ』となった私である。
2017/06/02
かふ
小津の映画の女たちは踏み外さない女たちでメロドラマが希薄。おじさまごっこというのは肯ける。原節子から司葉子、岩下志麻に受け継がれるヒロイン「紀子」キャラの話が面白い。原節子はその後はお母さんの「秋子」キャラに。紀子の友達は活発な「あや」でこれも淡島千景から岡田茉莉子に受け継がれる。「あや」キャラがいいと思うのはおじさん転がしなんか。
2011/11/12
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