原子力戦争 (ちくま文庫 た 10-2)
原子力戦争 (ちくま文庫 た 10-2) / 感想・レビュー
Ikuto Nagura
76年発表のドキュメント小説。「反企業、反資本主義の政治運動をどう分断し、攪乱し、粉砕するか、戦争なんだよ。戦争だからこそ金になる。戦争とは、汚くて危ないからこそ儲かるんだ」原発関連企業と官僚は、金儲けのための戦争として原発を推進していた。一方の反対派は戦争とまで認識してたろうか。少なくとも社会党と共産党にそんな覚悟はあるまい。だからこそ、彼らを止められず、福島事故は必然となったのだ。また、本書で推進派が使う詭弁に何度も「暗闇の思想」が使われるのに、松下竜一の影響力の大きさを知る。締めの解説は野坂昭如…。
2015/12/16
ゆきまさくん
これは古く1976年に出版されたもので、2011.3.11に再出版されたもの。 1970年代の原子力船むつの放射線漏れ事件を背景に、原子力推進派と反対派、官僚と民間の主導争いを綴ったドキュメントノベル。 しかし、この40年もの間、時代や技術は変わってきたが、原子力を取り巻く環境や争点は基本的に変わらないんだなと実感。 当時、著者がこれをまとめたことは慧眼。
2018/07/15
Hiroshi
1976年より雑誌に連載されたもの。原子力船「むつ」が放射線漏れ事故をおこした。その後の1年間の原子力の推進派・反対派の動きをルポしたドキュメント・ノベル。凄い本だ。九電体制と電源開発。電力会社と通産省との電力の指導権争いだ。一方公害問題で実力をつけた市民運動。原発に対して反対運動をおこした。新しい原発が作れない電力会社。通産省が労組や広告代理店を使って反原発運動潰しをする。GEとWHの原子炉の販売競争。互いに相手の炉の欠点をばらまきつぶし合う。更に西独やカナダも参戦。様々な人が必死で戦う。だから戦争だ。
2016/03/17
jiangkou
3.11以降なぜ日本に多くの原発があるのか。なぜ処理できない廃棄物を産む施設を、しかも自前の技術ではなく運用しているのか疑問に思う人も多いかと思います。そういう疑問の一端に答えるルポ小説。あわせて日経で連載されていた原発導入の歴史記事を読むことをオススメします。
2015/08/04
daichan
僕は原発は動かしたほうが良いと考えるけど、そういう主義主張に関係なく、この人は本当にすごいと思う。これぞジャーナリズム。
2017/04/22
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