罪と監獄のロンドン (ちくま文庫 し 12-3)
罪と監獄のロンドン (ちくま文庫 し 12-3) / 感想・レビュー
藤月はな(灯れ松明の火)
エールを飲まなければやっていけず、DVが当たり前で妻は徹底抗戦をしなければ夫に殺されて死んでしまうというヴィクトリア朝のイーストエンドの様子に「父がこの時代にいなくて良かった!」と心底、思わずにいられませんでした。女性が暴行されても裁判員たちが男ばかりで暴行を振るった夫や男も罰金刑などの刑罰で済んでいたことに唖然。そしてそんな家庭から抜け出して孤児になることで身の安全を図った子供たちがいたことも絶句。また、重罪人に対する処刑や拷問方法が酷すぎる。牢獄に入れられる結果に社会学でのラベリングを思い出しました。
2014/02/20
こばまり
面白かったです。ロンドンでパブ文化が花開いたのは過酷な労働と劣悪な居住環境のせい。そして飲んで飲んで飲んで。犯罪も生まれるわけです。待っているのは酷い刑罰と身の毛もよだつ服役生活。図版や写真がふんだんに盛り込まれた本書には当時のマグショットも多数。この後、彼、彼女は一体どうなったのだろうと思うことしきりでした。
2014/06/11
壱萬参仟縁
原著1992年。邦訳初出1997年。13頁の挿絵はDVがあったことを物語る。第1章をみると結婚なんて地獄とわかる。1887年には、警察官も襲われるほどの治安の悪さを物語る写真がある(33頁)。挿絵、写真多数でヴィヴィッドに当時の世相を描き出すのは見事。1871年、警察官がDVを止めにはいって、暴行罪で訴えられ罰金刑だという。妻は男の私有財産という発想のようだ(50頁)。おそるべきものがある。第4章は深刻な少年犯罪の話も。18Cは人権感覚が麻痺していると思える。晒し者という存在はなんなのか。第11章は監獄。
2014/01/05
🐾ドライ🐾
英国ビクトリア朝時代(日本は江戸末期~明治)のロンドン。有名な事件ではなく、日常頻繁に起こる犯罪、そして裁判、囚人の生活を取り上げた本。ロンドンの荒み具合(欧州全般の治安の悪さ)がわかる。本屋でパラパラっと見て面白そうだと買ってみたが内容はかなり大雑把。本編より10ページに満たない文庫版訳者あとがきのほうが面白いってどういうこと?「本屋での直感も外すことはあるさ」とポジティブに考えて、さあ次の本へ!
2016/04/19
minamimi
シャーロックホームズを読み返していて、19世紀後半のロンドンに興味が湧いてきた折に、図書館で見つけた本。ジャック・ロンドンの本も引用されていた。とにかく野蛮。野蛮だけど社会構造が酷い。産業革命の成れの果ての闇。植民地時代の終わり。この後第一次世界大戦があって、この本に出てくるような人たちやその子どもたちは、兵士として戦地に赴いたのだろうか?
2021/08/01
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