怪奇小説精華 (ちくま文庫)
怪奇小説精華 (ちくま文庫) / 感想・レビュー
HANA
怪奇小説アンソロジー。怪奇小説を読む上でこれは基本という古今の名作だけが収録されており、どのような層でも安心して読むことができる。ただそれが仇となりある程度読んだ人間にとっては、ほぼ既読のものばかりである。それでも読んでしまうのは再読に耐える話ばかりだからか。やはり「猿の手」は最高の出来だし、「蜘蛛」のだんだん取り憑かれていく様子もたまらない。「幽霊屋敷」みたいに疑似科学でグダグダになる作品もあれば、初読の「羽根まくら」はバカホラー。各人一編は気に入る作品が出来ると思うので、一度は読んで欲しい一冊である。
2013/05/28
藤月はな(灯れ松明の火)
10話程、既読。「アッシャア家の崩没」は古風な訳文に詩がぴったりでよかったです。倉阪鬼一郎氏が翻訳した「猿の手」はホワイト氏が掛けた最後の願いについて言及されていないので有栖川氏のように想像の膨らむ方もいるのかなと思いました。「羽まくら」は生理的にぞっとします。モーパッサンの「オルラ」は催眠術による自己への不信から何か感知できないものがいると気づく過程とある予測で知る恐怖の描き方に息を呑みます。「闇の路地」はある土地の不思議さに人間がかかわることで恐怖が生み出され、呪いとなる怖さに戦慄します。
2013/03/26
miroku
ハーンが世界一怖い怪談と言った、リットン卿の「幽霊屋敷」のを読む。あまり怖いとは感じないが、これは時代の違いか・・・。
2014/04/30
かわうそ
ホラーではなくあくまでも「怪奇小説」と呼びたくなる格調高い翻訳で歴史的な名作を味わえる贅沢な作品集。いくつかあった既読作品もこの並びで読むと印象が少し変わったりするのが楽しい。「クラリモンド」「蜘蛛」「闇の路地」あたりが特によかった。
2013/10/29
misui
有名どころが揃い踏み。新味はないけど一堂に会すると異様だし、なによりこのボリュームには圧倒された。取りこぼしていた作品も拾えて嬉しい。収穫はメリメ「イールのヴィーナス」、後半の破綻が妙に気にかかるリットン「幽霊屋敷」、気持ち悪いアラルコン「背の高い女」、気持ち悪いキローガ「羽根まくら」、ジャン・レイ「闇の路地」。リットンとキローガは他の作品にもあたってみたい。それとベルギー幻想派作家はもう少しきちんと紹介してもらえれば。
2013/02/05
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