オタク・イン・USA:愛と誤解のAnime輸入史 (ちくま文庫)
オタク・イン・USA:愛と誤解のAnime輸入史 (ちくま文庫) / 感想・レビュー
at-sushi@ナートゥをご存知か?
70年代生まれの米国人著者が、ゴジラやヤマトとの出会いを機に、日本が誇るサブカルチャーにハマりオタク化していった自分史と、それとシンクロするように、それらが米国内で浸透していったプロセスを、オタクらしいマニアックな視点で紐解く。当時のオタクが、マッチョな価値観の中で蔑まれ、日本より遥かに厳しい表現の規制や、雑な翻訳、勝手な再編集等の壁に阻まれながら、聖地・日本に憧れ、(周回遅れの)情報を集めていた涙ぐましい努力が伺える。 最新アニメが、世界中でリアタイ鑑賞出来る今って、天国のような時代なんだろうな。
2024/03/31
ホークス
著者は1972年生まれのアメリカ人。子供の頃から日本のアニメや特撮に親しんだ。ゴジラやガッチャマンなどの深い話は正直知らない事だらけ。そんな私でもアメリカ文化への理解は深まった。暴力やお色気に厳しいが、ジョークなら差別表現も許される。独創性はそこまで重視されず、真似や歪曲もビジネスならば徹底的にやる。著者の話は「子連れ狼」(若山富三郎主演)やピンクレディーにも及ぶ。アメリカにおけるオタクの歴史は危うい綱渡りだった。「萌え」論争がよい例だ。コンテンツは人々の感じ方と共に変化する。だから新しいものにも出会える
2020/02/24
白義
アメリカの日本オタク文化受容をここまで具体的に内側から経験も含めて語った本は他にないだろう。著者の濃さも飛びきりで、ストーリーをでたらめに改変されたガッチャマンやウルトラセブンの吹き替えがふざけすぎなことへの憤りを微塵も隠さぬギーク性や博覧強記といっていい知識は本場日本のオタク以上、扱う題材もガンダムWの人気、ファーストの苦戦など有名で既知の内容からネオナチオタク少女や米国最年長オタクを紹介したUSAオタク列伝など、表からも裏側からも米国のオタクカルチャーへ誘ってくれる熱のこもった名著
2015/05/24
佐島楓
日本からの輸入にあたって「改悪」されてしまったアニメや特撮、BLや少女マンガもアメリカで大人気という意外な事実が盛りだくさんだった。欲を言えばもう少し考察していただきたい点があったけれど、著者のサブカルチャーに対する愛情には敬意を表したい。最新版も出していただきたいくらいだ。
2014/05/19
Bo-he-mian
「オタクじゃないアメリカ人でも知ってるアニメは『セーラームーン』と『ドラゴンボールZ』と『淫獣学園』」- 「ANIME」という言葉が最初にアメリカ人に浸透した時、それは日本製のエロアニメを意味する言葉だったのだ・・・! そのイメージが払拭されたのは、その後に輸入された『セーラームーン』や『ドラゴンボールZ』や宮崎アニメによってだった。知っているつもりで、知らない事が結構ある。本書は、アメリカのオタク事情、というよりは日本文化がどのように受容されて行ったかという歴史を紹介したもので、資料的な価値も案外高い。
2018/10/28
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