カムイ伝講義 (ちくま文庫 た 58-5)
カムイ伝講義 (ちくま文庫 た 58-5) / 感想・レビュー
saga
江戸学の権威・田中先生。大学のゼミでカムイ伝を教材に、文化人類学と江戸を結びつけた。穢多非人と一緒くたにしていたが、被差別民と言っても違うことが興味深い。木綿生産・養蚕から農林漁猟業、老若男女人々の暮らし、そして生命まで幅広く取り扱う。終盤の「武士とは何か」で、3次産業として生産性を持たないサラリーマンと武士を比較する筆致は、身につまされる。文庫版あとがきを引用すると、著者自身が「カムイかも知れない。そして、やはり日本人がわからなくなった」自分も「カムイかも知れない。」
2019/03/16
ヨーイチ
本書は前から注目していた。劇画「カムイ伝」は第一部のみ通読済み、と言いたいが、小学生では読んだことにならないかも。四歳年上の姉が揃えていたのを貸して貰った。小生より少しお姉さんの筆者が当時どう読み、さらに歴史家の資料としてどう活用したのだろう。読みたいと思った動機はここら辺。大学な講義が元なので、劇画「カムイ伝」を懐かしんだり、知りたいと云う期待に応える本では無い。当たり前だか勉強になりました。前半は江戸時代の仕事や生産が具体的に語られる。穢多と非人の違いや役割の説明も新鮮であった。続く
2014/09/06
slider129
日本が農村を中心にして見事なまでのリサイクル社会を作り上げていたことを知り、驚きと共に日本人として誇りに思えた。著者の言う通り今の資源を無駄に消費してゴミを生み出し、後の世代にまでツケをまわすことになる原発を推進することは環境破壊を生むだけでなく、地球の恵みの恩恵を受ける人類にとって江戸時代の人々より退化していると言われても否めないことだと実感する。中学生でカムイ伝に出会ってから何度も読み返すことによって数々の登場人物の生き方に共感し、生きる勇気を貰ったわが身を思い出して、また再読しようと思わせてくれる。
2014/06/22
tama
図書館閉架本 カムイ伝は学生時代ガロ読んでたし、サスケも浪人時代からずっと読んでた。白土三平も好きだったが、ビックリしたのはカムイ伝に第2部があり、絵は前半小島剛夕、後半岡本鉄二ということ。三平鉄二兄弟は'21.10.8と12に亡くなっていること。乞胸組織の出自は武士!一揆は祭と同根!?農民はかなり銃を持っていたはずだが一揆に銃は登場しない。江戸時代は兼業時代で、農民らは現金を得られる多くの技能を持っていた。などと言うことが語られてゆく。階級闘争とイコールな内容ではない。
2023/06/06
目黒乱
白土三平の『カムイ伝』をもとに,江戸時代の生産体制や支配体制について書かれた本。綿作と製糸業の比較,一揆の本質など,興味深く読んだ。江戸時代を知るための導入としたい。
2018/06/07
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