柳花叢書 河童のお弟子 (ちくま文庫 ひ 21-8 柳花叢書)
柳花叢書 河童のお弟子 (ちくま文庫 ひ 21-8 柳花叢書) / 感想・レビュー
HANA
三人の文豪による河童本。鏡花の名文に酔った後は芥川で河童の社会について知り、柳田で生態について学ぶ。それにしても「貝の穴に河童のいる事」、久しぶりに読んだけどやはり最後が素晴らしい。あの余韻のある鳴き声の間に挟まれる文章はまさに名文だなあ。あと「河伯令嬢」は白山の巫女が来なかった『山海評判記』みたいな気もする。芥川の「河童」はあの時期の陰鬱さがなくて含み笑いしながら読めるし、柳田の「山島民譚集」は読みにくいけど内容が実に興味深い。巻末の座談会も三人の立ち位置を知る絶好の資料になってるし。いい一冊だった。
2015/03/06
ぜっとん
『河伯令嬢』はいい。語りの文体だ。痛ましいところも悲しいとこも、全部が言葉と形容に沈んでこうなってしまう。見事。芥川の河童はやっぱり軽く皮肉が利いていていい。ラストの対談のかるみも楽しいが、やっぱり鏡花はしゃべるときも描写がちなのは笑えた。
2015/01/05
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