なんらかの事情 (ちくま文庫 き 30-2)
なんらかの事情 (ちくま文庫 き 30-2) / 感想・レビュー
buchipanda3
著者2作目のエッセイ集。ふふふ、今回も小説かエッセイか分からぬ奇妙な読みものを楽しめた。とにかく岸本さんが見つけ出す世の中のモヤモヤな出来事のユニークさに思わずニヤリと。ダースベイダーは寝るのか、しゃべる便器、物が捨てられない理由など。問題(ネタ)提起から始まり、流暢な語り口で切々と訴えられ納得させられると、いつの間にか虚実の区別がつかない世界に放り込まれて、なぜかファラ・フォーセットと検非違使の組み合わせの話となっており、今度は著者の方のニヤリ顔が浮かんでくる。そしてまた岸本さんの本を手に取るのだった。
2022/04/20
kazi
只者ではないと思っていましたが、予想以上でした(^▽^;) 海外文学の翻訳などで活躍されている、岸本佐知子先生のエッセイ(?)集です。ほんわかした語り口から、妄想の世界へと巻き込まれていく展開が心地よい。とにかく著者の妄想力に圧倒されます。私のお気に入りは「日本タイトルだけ大賞」から妄想した、雪強盗というエッセイ。その文学賞も妄想でしょ!?って思ってたら、ちゃんと実存するのね。新しい世界を知ってしまいました・・。第12回、選考委員個人賞の『項羽と劉邦、あと田中』という作品が、気になってしょうがない・・。
2020/11/14
さおり
ハハハのおすすめ本(フライング)。これは大変!好きすぎる!途中で、こんなに私好みの文章を書く人はどんなお顔なのかと調べて、お顔も好みだったので、いっそ結婚したいと思ったくらいです。実はおすすめされた本が本屋さんになくて、同じ著者の別の本を買ってきたのですが、これはどうせ、この方の本全部読むコースだわ。朝井さん、しをんさん作品を抜いてマイエッセイランキング堂々の1位です・・・これをエッセイのジャンルに入れていいのかから話し合わないといけませんが(誰と?)。同じ妄想族として、頂点を見た気がしました。
2016/07/04
ふう
都民ではありませんがテレビを見る時間が増えて、なかなか読書が進みませんでした。せっかちなので、帯などを見ずにいきなり読み始めるタイプ。読みながら思ったことが帯に書いてあると、わたしってけっこうまともなのかなとちょっと安心してしまいます。そう、これは単なるエッセイではありません。妄想というよりも小説。軽めのものもありますが、苦しみながら生みだされた作品と思えるものもありました。岸本さん、生きていくのが楽しいような大変なような…。アロマの章では町田氏を、文字たちの野望では井上ひさし氏を思い出しました。似てる?
2016/06/17
アキ
ミランダ・ジュライやルシア・ベルリン、ショーン・タンなどクセのある本の翻訳をしているので気になって読んでみた。エッセイだが、思わずプッと吹いてしまう程、笑ってしまう発想の数々。こりゃ面白い人だわ。ことばに関する空想力が半端ない。「立ち合いと同時に変化しました」「何らかの事情を知ってるものとみて」「瓶記」がツボ。この人の翻訳する本に注目して読んでみてもハズレなさそう。この本で触れてるが、昔のドラマ「アリーmy Love」が好きそう。「ねにもつタイプ」「ひみつのしつもん」「罪と罰を読まない」も読んでみたい。
2019/09/16
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