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まともな家の子供はいない (ちくま文庫 つ 16-3)

まともな家の子供はいない (ちくま文庫 つ 16-3)

まともな家の子供はいない (ちくま文庫 つ 16-3)

作家
津村記久子
出版社
筑摩書房
発売日
2016-03-09
ISBN
9784480433374
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まともな家の子供はいない (ちくま文庫 つ 16-3) / 感想・レビュー

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ヴェネツィア

津村 記久子さんは、得意のお仕事小説でももちろんだが、こうした家庭小説でも"リアル"を描き出すのが巧みだ。中学3年生は親から見れば、子供だろうが、当人からすればもはやそうではなく、かといって大人だとも言い切れない微妙な年齢である。なにしろ、それぞれの家庭をはじめ、学校など日々これ限界も多い。セキコ、ナガヨシ、クレ、室田、大和田と4つの家庭が登場するが、そのいずれも旧来の範疇では「まとも」な家庭ではないのかも知れない。しかし、かといって破綻しているわけでもないのだ。この中途半端さの中にこそリアルさが潜む。

2018/08/25

真理そら

塾に通う中学生たちの、親を見る目の冷静さと自立できない悔しさが淡々と描かれている。反抗期と言ってしまえばそうだけれど。「まともな家」ではないのは大人が大人になり切れていないのかもしれないと思ったりしながら読み終えた。塾にも中学校にも行かずに家でドーナツ作ったりして太りまくっているクレが好きだなあ。

2022/06/01

アイシャ

失業した父親が家でのうのうと過ごすのを嫌悪する中三のセキコの夏休み。父親としての役割を果たさない父親とそれを黙認する母親、上手く立ち回る妹に終始イライラとして家での居場所を失う。塾が休みになって、図書館と友人の家だけを頼みの綱とする。塾で出会う友人にもそれぞれの家庭の事情があり、塾の宿題を乗り切るため(写させてもらうため)に悪戦苦闘しながらも心のけじめをつけていく様子がいい。津村作品に登場する多くの人々と同じで、中学生の女子も様々なことを悩み人生を知っていく。セキコの塾仲間の室田さんの話もすごく面白かった

2023/02/23

佐島楓

問題は、家庭が子どもにとって唯一の世界であるということ。家族にイラついても、やり過ごして今日を生き抜くしかない。大人になれば何か変わるだろうという淡い希望を抱いて。

2016/06/12

NADIA

中学3年生のセキコ。父親のプライドが高すぎて仕事が長続きせず家でゲームをして過ごす姿に、母親のそんな父親に愛想を尽かさず甘やかするところに、そして妹にはそんな両親とうまく付き合える如才なさにいら立ちを感じる日々を過ごしている。同じ塾に通う仲間もそれぞれに問題を抱える家庭で過ごしている。友人ナガヨシの「家族って、いつまでもどうしたらいいんだかわからないんだよねえ。ほんとうにめんどくさい」という呟きがこの物語の芯なのだろうか。どの家庭も何かしらの歪みを抱えていて「まともな家」というものは幻想なのだろう。

2024/03/17

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