わが推理小説零年 (ちくま文庫 や 22-36)
わが推理小説零年 (ちくま文庫 や 22-36) / 感想・レビュー
アキ・ラメーテ@家捨亭半為飯
デビュー作『達磨峠の事件』応募までの経緯、探偵小説に対する思い、江戸川乱歩、友人高木彬光など探偵小説家との交遊録、『八犬伝』や『忍法帳』など自作について、まとめたエッセイ集。ユーモラスな語り口ながら、どこかにニヒリズムが顔を出す。
2016/09/22
本木英朗
自身の作家デビュー以後の探偵小説文壇のリアルな息吹と、それを通じて当時の世相を垣間見せてくれるエッセイ集。綺羅星のごとき作家の名前が登場するが、とりわけ大きな存在感を見せるのは、やはり乱歩だ。特に224頁から始まる「私の江戸川乱歩」には思いが結実されている。若き日に面と向かって「先生は眼高手低ですな」と語ったエピソードは、その後の乱歩作品の分析と相まって実に読みごたえがある。この他にも、探偵小説というジャンルそのものを著者がどうとらえていたか、また筒井康隆に対する高い評価など、興味深い話題が多い。
2016/06/16
犬こ
山田風太郎というと忍者ものと、人間臨終図鑑の作家というイメージが強かったのですが、この本を読んで推理小説、日本の文豪たちの考察の深さに氏の印象が変わりました。特に乱歩、横溝には敬意をひょうし、「大乱歩は日本小説の太陽である」「探偵小説のために生まれてきた二人」私も読書スタートとして、影響を受けた二方なので、共感の連続でした。山田風太郎が亡くなったのが乱歩の命日というのも、締めくくりとしては染み入りました。
2016/05/23
本木英朗
日本の本格ミステリ・時代小説などを書いたのが、この山田風太郎である。俺は2016年6月に一度買って読んだので、今回で2回目である。やはりそう来るか。さすが山風だよねえ。大乱歩は別としても、横溝正史や高木彬光、阿佐田哲也など多くの人が出てくるのがねえ。まあ、やっぱり2回目よりも1回目の方がいいので、そっちを見てごらん。とりあえず以上です、はい。
2019/10/26
getsuki
推理小説に関するエッセイ集。江戸川乱歩氏や高木彬光氏との交友にも触れられており、その洞察力には恐れ入る。反面、自身の評価が恐ろしく低い……戦中戦後の青春時代がうかがえる。風太郎氏の日記作品もそうだが、この感情の行き場のなさから風太郎作品が生まれたのかと思うと感慨深いものがあります。
2016/05/27
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