最終戦争/空族館 (ちくま文庫 き 40-1)
最終戦争/空族館 (ちくま文庫 き 40-1) / 感想・レビュー
阿部義彦
はいここの所新井素子さんから始まりSFにハマってます。良いタイミングで大好きなちくま文庫より伝説の作家、今日泊亜蘭の、アンソロジーが出たので即買いです。名前は何となく聞いてましたが、漫画家の杉浦幸雄と竹馬の友だったそうです。星新一が29歳の時すでに45歳でしたので長老級の割には独り孤塁を守り抜いたようです。でも今回読んで全然古びていないし、いわゆるワンアイディアでのショート・ショートとしても楽しめる短編の数々。一番心に残ったのは「カシオペアの女」のロマンシズムですねー。レイ・ブラッドベリを彷彿とさせます。
2016/10/30
あ げ こ
容易く滅びる。容易く飛ぶ。容易く乗っ取られる。スピード侵略、スピード解決。すぐに大宇宙。すぐに光速。すぐに終末。地続きで異次元。みんな垢抜けないまま、素朴なまま、星を超える。懲りないまま、愚かなまま、大規模大宇宙と言う厄介さ。おっかなくてスーパー楽しい。短い話ばかりだけれどいずれも素晴らしく、何よりオチが秀逸…!今日泊亜蘭…偏屈で、気難しくて、照れ屋で、とんだひねくれ者であるように思う。稀代のエンターテイナーであるように思う。一筋縄ではいかないものばかり。もっと騙されたいし、驚きたいし、皮肉で痺れたい。
2018/02/25
サイバーパンツ
宇宙人、ロボット、戦争など、扱うモチーフ自体はかなりベタ。その中で、相対的価値観を提示していくのが当時としては新しかったのだろうが、今読むと古臭いと感じる部分はある。とはいえ、クラシカルでありながらも流れるようなリズムで刻まれる文章は読んでいて心地よいし、話のひっくり返し方にもあっと言わされる。特に本書では掌編が多かったのだが、短ければ短いほど切れ味が鋭い。不思議な魅力のある作家。短い中で展開の妙が楽しめる「古時機ものがたり」やレムのソラリスを彷彿とさせる奇想姓に富んだ「空族館」がお気に入り。
2017/12/19
SAT(M)
普段和製SFはほとんど読まないにも関わらず手に取ったのですが、いきなり寂れた裏通りに出てしまった感が…。良くも悪くも昭和の俗っぽさが前面に出た短編集でした。色々な風合いの作品が収められていますが、個人的には昔のオーソドックスな特撮映画を髣髴とさせる作品が好みでした。収録されている「完全な侵略」はかの江戸川乱歩に賞賛されたと言うこともあり、大正アングラと黎明期の日本のSFは案外近いところにあったのではないか、と思いながら読んだ次第です。
2017/02/08
けいちゃっぷ
ベタといえばベタですが、宇宙人やロボットがたくさん出てきて楽しい。 いささか古臭いのは仕方ないけど、この作者の文体というかテンポは読んでて気持ちいいですね。 『光の塔』は面白かったけど短編やショートショートはどうかな、と読む前は思ったけどアイデアをこれでもかと披露してくれてて満足できる短編集でした。 457ページ
2018/04/17
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