消えたい: 虐待された人の生き方から知る心の幸せ (ちくま文庫 た 36-4)
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消えたい: 虐待された人の生き方から知る心の幸せ (ちくま文庫 た 36-4) / 感想・レビュー
ゆいまある
カリスマ的な魅力の精神科医が書いた本。虐待された人を「異邦人」と表現する。どこにも居場所がないから。トラウマサバイバーだろと思いながら読み、途中から、複雑性PTSDと言ってくれと思った。あなたの欝もパニック障害も、虐待のせいなんですと言えば掴みはオッケーで、患者は時に医者を盲信する。宗教みたいで、信者を選ぶ仕事の仕方。私だって何でもかんでも親のせいにしたい。自分が悪くなかったって思いたい。だって楽だから。でも親も不器用で、どうしようもないことってあるんだよ。著者の考えを押し付けられるようで終始苛ついた。
2022/03/23
コージー
★★★★★都内で精神科・心療内科を開業されている、精神科医の高橋先生が書かれたエッセイ。虐待された人の生き方から異世界を知るとともに、人の幸せをあらためて見つめ直すという異色の本。虐待を受けて育った人は、人生の辛さから逃れるために「死にたい」とは言わず「消えたい」と言う。彼らの世界を知るとともに、自分とはどういう存在か、そしていまある幸せを感じられる良書です。【印象的な言葉】「死にたい」は、生きたい、生きている、を前提としている。「消えたい」は、生きたい、生きている、と一度も思ったことのない人が使う。
2019/02/18
豆ぽち
過去の虐待に苦しみ続けてる人には是非読んでみて欲しい。人生が苦しいのは自分が悪いからではない、全ては環境のせいなのだと、焦らないでゆっくりと自信を持って生きたらいいと優しく語られています。「母を、好き嫌いではなく、怖かっただけだと気づく。繋がりが途切れる。」「規範を守るという枠は、辺縁の世界では、それは孤独の恐怖を抑圧し、愛情の期待を持ち続けるために必要な枠だ。同じ枠は、普通の世界では、感情の共有を維持するために必要なものだ。」『生命的存在と社会的存在の二重の存在を楽しむ生き方』
2017/05/09
ひよ亭
虐待されてきた人たちが大人になって上手く世の中に順応できていない幾つかの例を取り上げ、対応した医師がその心理や回復していく状況を紹介している。単純にその世界には入り込めないが、異邦人と呼ばれるそのような人たちを少しは理解出来たかと思う。
2019/07/04
かえるくん
これは心にくる。印象的だったのは、自分にも身におぼえがある次の一節。「いつもそうして、先を急いで生きてきた。次のことばかりを考えて、『今』の時間、目の前の気持ちをみつめてこなかった」。目の前の気持ちをみつめる、そのつみかさねが人とのつながりを形づくる。大切な時間と思い出を逃してしまわないように、そこから始めよう。
2017/10/29
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