トラウマ文学館 (ちくま文庫)
トラウマ文学館 (ちくま文庫) / 感想・レビュー
KAZOO
わたしは頭木さんの「絶望名言」をラジオ深夜便で聞いてから、この方の編纂する作品集などを結構読んできて注目しているのですが結構楽しめました。12の作品の中にはコミックも2作収められていてトラウマというよりも、かなり厳しい状況の場面が多いような作品集でした。韓国の作家の「テレビの受信料とパンツ」という作品が一番印象に残りました。
2024/10/03
kinkin
サブタイトルはひどすぎる無視できない12の物語。冒頭の1971年少女漫画雑誌に発表されたマンガ直野祥子「はじめての家族旅行」に尽きる。自分にも同じような経験があるのでいまだにトラウマだ。筒井康隆の「走る取的」これは他の本でも紹介されているが何度読んでも主人公の切迫感と恐怖が伝わってくる。白土三平の「野犬」も面白かった。図書館本
2019/04/03
青蓮
どれも理不尽で救いようのない物語ばかり。大好物です。心を深く抉り、死ぬまで消えない傷痕を残す作品は案外少ないのでは。そう言う意味でこのアンソロジーは秀逸。一番恐怖を感じたのは筒井康隆の「走る取的」。何度振り払っても追ってくる恐怖もさることながら物事に意味や理由が無いと人間は耐えられないということを痛感させられました。白土三平の「野犬」のラストにある文言が冷徹。でも実際、現実はそういうふうに成り立っていると思う。冒頭のカフカの言葉と巻末のオコナーの言葉には痺れた。次は自殺をテーマにしたアンソロジーが読みたい
2019/04/05
harass
表題と収録作家名から手に取る。後味の悪い短編小説とマンガのアンソロジー。ディックの短編「なりかわり」は題名はすっかり忘れていたが読み出してすぐにあれだと思いだした。嫌なだけでなくそのアイデアと展開に舌を巻く。筒井「走る取的」は定番、フラナリー・オコナーの「田舎の善人」も再読でも虫唾が走るのだが、初読の深沢七郎「絢爛の椅子」に感心。作品のチョイスはいいと思うが、この編者がいろいろ喋りすぎで少し気に食わないと思ったが、いまの本が売れない時代のアンソロジーだと以前のよりも多めの解説がないと読んでくれないのかと。
2019/05/22
rico
トラウマ=救いがない、理不尽・・・て感じかな。 PKディックはわかりやすくアイデンティティのゆらぎを突く。筒井は多分既読。笑えるけど怖い。他の作品も楽しめたけど、ある意味1番怖いのは、冒頭の漫画「はじめての家族旅行」。取り返しのつかない過ちってあるんだよ、て子供には相当きついメッセージ。編者の頭木さんは「元気なときにお読みください」と書いてるけど、最近はイヤミスもあるし、やりきれない事件も頻繁に起こってるし・・で、あんまり元気じゃなくてメンタルも強くないけど、わりと平気で読んでしまった。大丈夫か、私。
2019/03/22
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