ひと・ヒト・人 ――井上ひさしベストエッセイ続 (ちくま文庫)
ひと・ヒト・人 ――井上ひさしベストエッセイ続 (ちくま文庫) / 感想・レビュー
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今読んでも「井上ひさし」は面白い。小説は長くてクドいモノが多いが、週刊誌連載ぐらいの分量のエッセイは抜群の面白さで、なるほどと唸りながら可笑しさも込み上げてくる。特に人物評は秀逸で、そのベスト集なのだから面白くないハズはなく、書店で冒頭のアンネ・フランクを立ち読みしたらそのままレジに向かい、帰りの電車で続きを読んでいるだろうw。例えば平賀源内。当時の評判どおりの奇人変人とは見ずに、江戸コトバによるコトバ遊びの創始者だと教えてくれる。おはぎを「グルリアン」、大福を「アンクルーム」って言っていたってホント?!
2021/03/12
いのふみ
特に、吃音から田中角栄の本質に迫る「お道化者殺し」や、子供の目線を通じて大日本帝国の論理構造を鮮やかに紐解く「餓鬼大将の論理」が白眉。地方に講演に来た偽・井伏鱒二や色川武大など、あまり快く思っていなさそうな人物も、何度も思考をもって捉え返し、ユーモアでくるみ、やさしく差し出す。執筆を依頼された前段や「根拠をいくつか提示いたしましょう。」などの一般的にはこなれないと思われる話の運びも、平易な言葉とユーモアでしっくりくる。読むよりも、これをやるのは簡単なことではない。
2021/10/15
しゅー
★★★一冊目が面白かったので続編も手に取る。表題どおり、著者が人もしくはその作品について語ったエッセイが集められている。つくづく、著者の下調べはしっかりしていると思う。単なる印象論に終わらず、しっかりその人が書いたものや発言を読み込んだ上で自説を述べている。一冊目に載っていた、本を読みながら地図をつくる、人物について年表をつくりあげる、作中のオノマトペを数えあげるといった地道な手作業が活きているように感じた。その上で対象について語る時の距離感がほど良くて嫌味がない。いくつか読みたい本がまた増えてしまった。
2021/08/01
hirayama46
様々な分野で人に関するエッセイを集めた本で、作家や政治家、演劇・映画関連などが中心で、書評的な文章も多く収録されていました。田中角栄については共感が強すぎるのではないかな……と思ったりもしましたが、そのあたりのちょっと極端なところを隠さないところも良いですね。
2022/07/14
mariko
あの田中角栄がどうやってできたか。 他の人も興味深かった。
2022/05/12
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