ゴシック文学入門 (ちくま文庫)
ゴシック文学入門 (ちくま文庫) / 感想・レビュー
コットン
東さん編集によるゴシック文学に対する幻想系作家たちのエッセイアンソロジー集で書き手は江戸川乱歩、小泉八雲、澁澤龍彦、塚本邦雄、平井呈一、高原英理などと豪華。
2020/11/02
花乃雪音
東雅夫氏編集のアンソロジー本のため体系的な入門書ではない。また、年月を経ている文章ばかり収録されているため今日でも書かれている通りの評価をされているのか判断に困る。冒頭に江戸川乱歩の20歳でポーやドイルを読んだ感銘より14,5歳で涙香を読んだ感銘の方が強烈だったという「幽霊塔」の思い出を持ってくる所は英文学礼賛一辺倒にならなくて良かった。本書で一番興味深かったのは小泉八雲の東大での講義でそれは本書における柱となる一篇だった。
2020/10/26
ふるい
ゴシック文学について、日本で書かれた論考やエッセイが集められていて、ざっとゴシック文学の流れが概観出来る。前田愛「獄舎のユートピア」が特に面白かった。西洋の都市を真似て作られた明治の都市そのもの、そしてその都市の中に作られた獄舎という、規律に縛られた檻の中にこそあらわれるユートピアや、当時の文学への影響について興味深く読んだ。続刊の『ゴシック文学神髄』も楽しみにしています。
2020/09/30
ハルト
読了:◎ 幻想文学好きなら知っているであろう面々のゴシック文学エッセイ論考。時を経ても変わらないゴシック文学の魅力を取り上げている。合わせて出る「ゴシック文学神髄」とともに読むべき入門書である。どれも読み応えがあったが、小泉八雲、種村季弘の恋愛小説をゴシック小説に変える手口、日夏耿之介の泉鏡花と海外幻想文学との比較考察がよかったです。
2020/11/10
刳森伸一
ホレス・ウォルポールの『オトラント城奇譚』を嚆矢とする(とされる)ゴシック文学に関する論考やエッセイを集めたアンソロジー。江戸川乱歩、澁澤龍彦、塚本邦雄、平井呈一など豪華な執筆陣による文章は、やはり面白く、ゴシック文学に対する様々な視点と態度が楽しめる。その一方で、統一感に薄く、結局のところゴシック文学とは何かというものを朧気にも理解したいと思っているであろう入門者にとっては、題名とは裏腹にハードルが高いように思える。
2021/01/23
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