ゴシック文学神髄 (ちくま文庫)
ゴシック文学神髄 (ちくま文庫) / 感想・レビュー
まふ
下記2篇を読む①ウィリアム・ベックフォード「ヴァテック」:アラブのカリフであるヴァテックの傲慢・不遜・独善・奢侈・傍若無人・強欲・色情狂的(等々)言行による身の破滅を描いた恐るべき絵巻物的物語。矢野目源一による伝説的ゴシック的名訳文にシビレた。 G535/1000。⇒
2024/06/13
花乃雪音
本書の編者による『ゴシック文学入門』と対をなす詩及び小説集。『大鴉』『アッシャア屋敷崩るるの記』『オトラント城奇譚』『ヴァテック』『死妖姫』収録。『アッシャア屋敷崩るるの記』は文語訳断片、『ヴァテック』は初訳版、『死妖姫』(吸血鬼カーミラ)も初訳版である。そのため総じて翻訳の古さが否めない。ゴシック文学の古典集であるとともに日本におけるゴシック文学の受容を知らしめる1冊だった。
2020/11/27
Ribes triste
平井呈一訳「オトラント城綺譚」を読みたくて手に取りまし たが、充実の中編集でした。美しいドレの細密画の「大鴉」、「アッシャア屋形崩るるの記」、「ヴァンテック」、「死妖姫(カーミラ)」。いずれも読みごたえがありました。研ぎ澄まされた日本語の音と調子、語彙の豊かさ。古くなった言葉はいずれは消えてゆくのかもしれませんが、味わい深い一冊でした。きっとまた読み返します。
2020/11/12
ハルト
読了:◎ ゴシック文学として著名な「オトラント城綺譚」「ヴァテック」「死妖姫(カーミラ)」と、ポオ、ドレの詩画集「大鴉」「アッシャア屋敷崩るるの記(断片)」が納められている。ゴシック文学を代表するだけあって、おどろおどろしく読み応えがあり、おもしろい。中でも、平井呈一訳の「オトラント城綺譚」はこれぞゴシック文学という形で、リズムもよく好みだった。どれも訳出が昔のものゆえ古色たる訳だったが、それが物語の雰囲気となじんで合っていたと思う。このシリーズが続くのならまた読みたい。
2020/12/14
アル
大変に面白いが、読むのに体力が要った本。 重厚な擬古文の日夏耿之介、時代物の講談を思わせる平井呈一、昭和前期の文体が落ち着く矢野目源一と野町二、と、それぞれの文体が古くはあっても味わい深い。 収録作はポー以外はどれも初めて読んだ作品だったが、さすが名だたる名作だけあってどれも面白かった。
2022/02/24
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