石ノ森章太郎コレクション ――初期少女マンガ傑作選 (ちくま文庫)
石ノ森章太郎コレクション ――初期少女マンガ傑作選 (ちくま文庫) / 感想・レビュー
へくとぱすかる
石ノ森章太郎の少女作品がこれほど詩情にあふれていたとは! 全部1960年代の作品。「MYフレンド」は、マンガ教室の体裁だが、そこで石ノ森自身が示す技法で一冊全体の作品が描かれているので、非常に納得させられる。「あかんべえ天使」は庶民的作風が温かくて良い。泣ける。「きのうはもうこない だがあすもまた…」にはびっくりした。SFで後年有名になるプロットを、60年前すでに作品化! 最大の驚きは、あの有名な短編にも似ているのだが、発表は石ノ森のほうが3か月早い。ということは英語で原文を読んだということもありえない!
2021/03/25
Bo-he-mian
伝説の「龍神沼」が読みたくて図書館で借りる。この作品、読んだことがあるようなないような。むかし大塚英志が解説していたから、その時に部分を読んだ記憶なのか。時代性を考えれば、表現のすごさは分かる気がするが、手塚の「新宝島」と同じで、解説されないと解らないすごさかなあ。演出を研究している人間にとっては、当たり前と云えば当たり前の事をやっている感じ。ラストの、祭りの列を描いた縦ゴマは確かに素晴らしいと思うけど。
2024/10/17
Saku
石ノ森章太郎がデビューしたての頃は少女マンガを多く描いていたというのを初めて知る。 後に哀しい運命を背負ったヒーローを多く生み出すことになるが、この頃の登場人物にもその芽が見えるのが興味深い。
2021/01/22
ジロリン
ほぼほぼ既読の短編マンガばかりだが、「石ノ森はデビュー作の『二級天使』が掲載誌の廃刊で中断し、少女マンガで実質プロデビュー。斬新なテーマや表現で当時の少女マンガの最前線に立ち、マンガ家としての足場とテクニックを固めた後に少年誌へと移行して行った」と分析する中条省平の、今まで考えたこともない視点で展開する解説が読めただけで、手にした価値のある一冊だった。うまく要約できなかったけどwこの解説は「石ノ森ファンは読むべし!」だと思う。
2021/02/03
ぶうたん
普段はあまりマンガは読まないのだが、評価が高いようなので手に取ってみた。著者の本で読んだのを覚えているのは昔サンコミックスから出ていた「赤いトナカイ」くらいで、ジュンも009も読んでいない。なので、本書の収録作はもちろん著者の少女漫画も初めて読んだ。詳しくないので漫画史的にどうかはわからないが、場面を俯瞰したコマとかは古い作品でもあまり目にした覚えがないので目を引いたし、メタマンガもあって、著者の意欲的な試みを感じて読み応えがあった。ただ、文庫サイズだと小さくて老眼には辛いので、そこだけ残念だった。
2021/10/17
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