おまじない (ちくま文庫)
おまじない (ちくま文庫) / 感想・レビュー
さてさて
”言葉”というものは、それを受け取る人によって、さらにはそのタイミングによって同じ言葉でもその意味合いが大きく変化していきます。しかし、大切なのは”言葉”そのものではなくて、動けなくなっている自分自身が、如何に顔を上げて前を向いて歩いて行くかということです。そう、本当に大切なのは決して凝りに凝った”名言”や”格言”などではなく、タイミング、そして、その人にマッチする”言葉”、それが、その人の人生を祝福するものになっていく、『おまじない』になっていくこと。なるほどな、と、納得感がとても感じられた作品でした。
2021/12/22
hit4papa
先への一歩を踏み出す前に、他者からの何気ない一言で気づきを与えられる女子たちが主役の短編集です。小学生、モデル、キャバ嬢、演劇スタッフ、ハーフの高校生などの大きな波乱のない日常が描かれています。それぞれの、深刻ではないもののつまづいている感は、誰もが共感を覚えることでしょう。タイトルと同名の作品はなく、これはテーマを表しているですね。お気に入りは、帰郷した崖っぷちのモデルと変わらぬ人「いちご」、周囲へ合わせてノリで過ごしキャバ嬢になった女子「あねご」、自分嫌いな小学生と祖父の触れ合い「孫係」です。
2022/03/19
エドワード
様々な世代の女性の心の内面を描く短編集。おまじないを信じているおばあちゃんが死んだ。「まじないや縁起なんて自分で決めるもんやねん。」というおっさん、西加奈子ワールド全開!祖父母世代と少女の、暖かくて冷めている交流を描く「燃やす」「いちご」「孫係」もいいね。「正直なことと優しいことは別なんだ。」と教えてくれるおじいちゃまを尊敬するよ。ぶっきらぼうな「お笑い担当」の優しさがにじみ出る「あねご」、母親の明確なイメージがつかめないまま、結婚と出産を急ぐ女性の葛藤を描く「マタニティ」も実に現代的で印象に残るね。
2021/03/28
hitomi.s
読み終わって読メの感想をぼんやりと考えてたらウトウトして昼寝になった。季節はずれの花火大会の会場が目の前なのに、音も花火の匂いもするのに、花火が明るくする空の色もわかるのに、なかなか着かない夢すら見た。私が大切にしているひとつは、何だろ。いまの私が大切にしているひとつ。無くしても歪んでも変幻自在な。自分をしあわせにするのは自分でもあるってことを、おもった。
2021/04/07
ゴンゾウ@新潮部
とても優しい短編集でした。自分の人生で生きづらいと思った時に自分を大切に生きていいんだと 励ましてくれる。自分のことを1番知っているのは 自分なんだから。
2023/08/18
感想・レビューをもっと見る