理不尽な進化 増補新版 ――遺伝子と運のあいだ (ちくま文庫)
理不尽な進化 増補新版 ――遺伝子と運のあいだ (ちくま文庫) / 感想・レビュー
佐島楓
歯ごたえ抜群の難解な哲学寄りの本だった。新しい理論(進化論のような)が登場するたびに人間は知的許容力を試されるのだと思う。ひとりひとりの許容量はとても狭く、理解できないものは受け入れられない。だから自分が理解できるように理論をゆがめ、その行為はときに本質までゆがめてしまう。そういった人間の受け入れ方の態度は今のコロナ禍にも通じるものがあると思った。
2021/08/04
ころこ
印象深かったのは、著者のクセのある文章が様々な引用やレトリックに満ちていて、非常に読み辛いということです。普通は一文だけでも独立して意味が通じて良いはずですが、試しに各節の後ろから読んでみると意味が通じるところが少ない。つまり、かなり文脈依存的な文章の重なりで、文系はそういったカルチャーが通じ易いものの、理系のひとには余計通じないことで警戒心と反発を煽っているだけだと残念に思いました。とはいえ、著者も昨日今日のキャリアではないので、こういった文章で書かなければならない必然性があったことは本書全体から伝わっ
2021/11/20
Sam
これなかなか凄い本です。進化論の素人向け解説書かと思ったら大間違い、予想以上に手強かった(し、第2章はくどくて冗長で読むのやめようかと一瞬思った)けど、自分がいったいどこに連れて行かれるのかさっぱり分からず、途中からは著者の壮大な構想についていくことの快感にひたすら身を委ねたって感じでした。こんな説明では何だか分からないと思うけど、例えばグールドとドーキンスの論争について述べた章は白眉で、すでに明確にドーキンスに軍配が挙がっているとしつつもグールドの「敗走」がどれほど豊穣なものなのかを語り尽くしている。
2021/05/18
小太郎
この本を読んでどんな感想書こうか悩みました。養老孟司さんの後書きが一番しっくりきます「進化論が好きでこの本を読み始めたら、アレッだまされたかなと思う。でも面白いのでとうとう全部読み終えてしまった。疲れた、なぜって立派な哲学書を読まされてしまったからである」内容はドーキンスとグールドの論争が縦筋。それらの哲学的考証が分かり易く?書かれています。ドーキンス「利己的な遺伝子」を読んだ時の衝撃は今でも鮮烈です。グールド「ワイルドライフ」も楽しんで読みました。二人の言ってることの違いがこの本で明確になりました。
2021/06/12
おせきはん
十分に理解できたわけではありませんが、わかったつもりでいた進化論の奥深さを学術論争、さらには哲学を通じて堪能しました。現在、一般的に言われている進化論はダーウィンの説そのものではないそうです。
2021/11/07
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