鬼 ――文豪怪談ライバルズ! (ちくま文庫)
鬼 ――文豪怪談ライバルズ! (ちくま文庫) / 感想・レビュー
KAZOO
「刀」に続く東さんが編纂した「鬼」に関するアンソロジーです。上田秋成の雨月物語から青頭巾をとられており、さらに京極さんがそれをうまく料理してくれています。昔読んだ小松左京さんの「黄色い泉」はおぼろげながら覚えていました。手塚治虫さんのマンガの「安達が原」はSFながら楽しめました。次のアンソロジーは「桜」です。
2021/12/19
藤月はな(灯れ松明の火)
「鬼」をテーマにした短編集。「青頭巾」、「安達ケ原の黒塚」の二大モチーフの物が多く、収録されています。序盤は「刀」編の終幕を飾った泉鏡花氏の作品「鬼の角」ですが、コメディです。鬼遣いに角を落としてしまった鳩槃荼。代わりに金の角を拾ってしまった汁粉屋のご隠居はそれをネコババしてしまう。鬼の必死の嘆願に対し、足蹴するご隠居に「鬼よりも人の方が酷い・・・」と思っていたが、それには絡繰りがあった。そして鳩槃荼は牛頭馬頭を引き連れて再び、ご隠居の下に来るが、権威に弱いのは鬼の世界でも同じなのね。最後、伴侶を惚れ抜く
2022/01/03
tomi
東雅夫による「鬼」をテーマにしたアンソロジー。『雨月物語』の「青頭巾」、『今昔物語』、『古事記』の伊邪那岐の黄泉降り等、同じテーマの複数の作品が並び、「黒塚」(安達ヶ原の鬼婆)をテーマにした作品では倉橋由美子、中井英夫、手塚治虫がそれぞれの作風で描く。冒頭の泉鏡花「鬼の角」は豆撒きで追い出された鬼が丁稚小僧にぶつかった拍子に角を落とし、角を失くした鬼が平和的になり、拾ったご隠居が凶悪になるドタバタが可笑しい。三橋一夫「鬼の末裔」は大江山の鬼退治の伝説が現代へと繋がる、真相はそうだったかもしれない奇談。
2024/03/26
ひさか
2021年10月ちくま文庫刊。文豪怪談ホラー新シリーズ2作目。泉鏡花:鬼の角、高田衛:月の夜の鬼たち、上田秋成/円地文子訳:青頭巾、京極夏彦:鬼情、福永武彦:鬼、坂東眞砂子:鬼に喰われた女、田辺聖子:水に溶ける鬼、三橋一夫:鬼の末裔、北村透谷:松島に於て芭蕉翁を読む、小松左京:黄色い泉、倉橋由美子:安達ケ原の鬼、中井英夫:黒塚、手塚治虫:安達が原、の13作を収録。鬼をテーマにしたホラーアンソロジー。坂東さん、田辺さんが妖しさいっぱいで面白いです。小松さんのは鬼じゃないんじゃ。
2021/12/31
まさ
「鬼」をテーマに東雅夫氏セレクションのアンソロジー。鏡花の『鬼の角』で愛嬌も持たせながら始まり、その後は「青頭巾」や「安達ヶ原」など古典やそれをアレンジした作品で鬼の世界へ。怖さももちろん感じるが、鬼って何?と問うことへと辿っていくのだろう。13編の最後は手塚治虫作品で締め。
2022/12/18
感想・レビューをもっと見る