すべてきみに宛てた手紙 (ちくま文庫)
すべてきみに宛てた手紙 (ちくま文庫) / 感想・レビュー
breguet4194q
タイトルに「手紙」とありますが、二人称として書かれているものと、単にエッセーの延長として書かれているチャプターが混在しています。自分の心を素通りするものが多かったのですが、部分的に非常に刺さる箇所が見つかり、著者の慧眼を感じずにはいられない思いもしました。言葉の存在とその重みを感じながら、読み進める事ができました。なかなか面白いです。
2024/10/03
夜長月🌙@新潮部
私(読者)への手紙39篇がおさめられています。テーマは様々ですがことばが心に伝わってきます。ことばは人と人を結ぶものであり、またものは名づけられることで理解できるようになります。最近どんどんことばが貧しくなっていることを嘆いています。草木の生える土の道が、固まったアスファルトの道に置き換えられたように何にでも使えることばが流行ったり重宝されたりしてしまっています。
2023/11/14
tamami
以前、読友さんが紹介されていた。長田さんの本と言えば、ずいぶん前に『読書からはじまる』という本を読み、その中の「本という考え方」に記されている部分が印象深かった。本書は、初読という点ではそれ程のものはないけれども、何回か読み込むことでより味わいが深くなりそうな気がする。「世界は一冊の本」であるとか「のこしたい10冊の絵本」とか、やはり本にまつわる話題が多い。その一冊として、郷土出身の武井武雄の絵本が、日本の絵本として一冊だけ挙げられていて、誇らしい気持ちになった。静かな時間と空間の中で、再び頁を捲りたい。
2022/04/26
Shoji
39話のエッセイが収録されています。言葉に重みを感じるものもあれば、哲学的なものもあります。読者である私の教養や料簡が試されているような感覚に陥った。どうやら私は、著者の問いかけをきちんと理解できていない。再読をせねばならぬ。
2024/10/05
pirokichi
詩人長田弘さんの39篇のエッセイ。「どんな時代にも、ひとが本にたずねてきたものは、けっして過剰なものではなかったはずです。わずかなもの。一冊の本の大きさほどの、小さな理想です」「微笑というのは、微笑をもった空の下にいるという明るい感覚が生む人間の表情なのだ」「死によってもたらされるのは虚しさですが、いちばんいい記憶を後に遺してゆくものもまた、死です」「ただ結びあわせよ」尊敬する師が私に宛てて寄せてくれたメッセージのように優しく胸に届く。「のこしたい10冊の絵本」は必ず読みたい。解説は谷川俊太郎さん。
2022/04/20
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