ゴシックハート (ちくま文庫 た-72-3)
ゴシックハート (ちくま文庫 た-72-3) / 感想・レビュー
harass
文庫がでたが、単行本で借りる。アンソロジー「リテラリーゴシック・イン・ジャパン」の編者の評論集があるとは知らなかった。著者が語る「ゴシック」なるものを小説漫画などの作品から論じる。いやあビンビン響きまくりで嬉しくなってしまった。特に岡崎京子「ヘルター・スケルター」に感心。文庫を買いに行こう。「だが、みじめで貧しい醜い者の悲しみより、美しく憧れられる者の激痛を、りりこは選んだ。この選択をよしとする心は誰しもあるはずだ。そしてそれを拡大すれば、みじめで貧しい醜い者として生きるくらいなら死んだほうがまし、
2022/12/25
Porco
「ゴシックハートは怪奇を愛する心である。また恐怖を探求する心である。」 私にとってのゴシックとは悪徳への賛美である、もしくは正常性を見定める力ある反発であり最後には敗北するものである。悪徳は栄えてはならぬが清水で生き抜けるほど人は正しくはない、人心の陽の部分は汚泥の中でこそ白百合のように光り輝き陰陽合わさってこそ人は真っ直ぐに歩けるのだ。そういう意味ではゴシックハートは自分の物事に対する目線をフラットに維持するための指針とも言える。 (1/2)
2023/01/03
青沼ガラシャ
様々な時代、地域、ジャンルを横断して収集した事物を整理し、パンチで穴を開けファイルに纏めたような、ゴシック文化を構成する要素を明晰に論じた一冊。そして同時に「ゴシックの精神」を執拗に問い続け、読者を鼓舞し続ける「ゴシック者宣言」でもあった。
2023/06/03
サイトー
いまや使用用途が網目のように広がった「ゴシック」についての評論。領域横断的に種々ジャンルを越えて語られる「ゴシック・ハート」は、この世界への反抗精神が曖昧具体も含めて織り交ざった美学の形態のように思われた。個人が世界を意識した時、ふと美(への意識)が宿ってしまう様式の一つとして怪奇猟奇の世界が出現する。いわば人々の死への憧憬が求めてやまないファルスの類例がいくつも提示される。言葉に酔いしれるでなく冷静な視点から語られるのはこの著者ならではの芸当。「差別美」まで切り込みを入れるのは読み応えがあった。
2023/03/23
Rieko Ito
日本のゴシックがテーマ。西洋のゴシックの部分は深みがなかったし、日本のゴシックは私には興味がなかった。唯一面白かったのは、左翼思想が当たり前だった60年代に、ゴシックがみずから意図した反時代性について述べられている部分。
2023/05/20
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