うんこ文学 ――漏らす悲しみを知っている人のための17の物語 (ちくま文庫 か-71-4)
うんこ文学 ――漏らす悲しみを知っている人のための17の物語 (ちくま文庫 か-71-4) / 感想・レビュー
ぶち
読友さんのレビューを拝読して、こんなアンソロジーがあることに驚き、ぜひ読んでみたいと思いました。小説、エッセイ、自伝、体験談、落語、漫画まで、様々なジャンルから幅広く選び抜かれた17作品が収録されています。冒頭に収録された芥川賞作家・尾辻克彦(赤瀬川原平)の作品・『出口』に、まずガツンとやられました。だれもが隠して語らない排泄の失敗を、見事に描いています。朝井リョウさんの『ゆとりぬシリーズ エッセイ』のように、漏らすという失敗の悲しみを様々に表現した作品がもっと増え、楽しませてくれることを願っています。
2023/10/17
まこみや
当人にとっては悲劇だが、第三者にとっては喜劇となる。うんこにまつわる体験はそのことを頗るよく示す例だろう。人前で漏れそうな危機を必死で堪える悲愴感・絶体絶命感を経験したことがない人は稀だろうし、その果てに漏らしてしまい、人としての尊厳が崩壊するような絶望感・呆然感を知る人も少なからずいると思われる。なんと大仰なと笑って済ませられる人は幸運な人である。その体験は語るにしろ聞くにしろ笑いに包んでしかやりとりしにくいものである点も深く頷くしかないものだ。生きることの悲劇と喜劇をうんこほど端的に示すものはない。
2023/09/19
shikashika555
「漏らす」ことは何故かほどまでにひとを打ちのめし尊厳を損なうのか。 そしてそこから自分を立ち直らせるため、救いを求めるためにも文学は存在する。 いま、ここで その力や救いが得られなくても、時代を超えて残る文学や芸術作品を媒介にすることで、今の時代に同じ経験を抱える人とも繋がっていかれるかもしれない。 これらが読まれているという事がすなわち、同じ体験を有する人の存在を浮かび上がらせているのではないか。
2023/03/05
たまきら
みんな避けて通れないこの生理現象。自分が思いついただけでも色々あるけれど、ここでは格調高いものから脱力してしまうものまで様々な文章が紹介されています(マンガもアリ)。まあ漫画はわたしならアラレちゃんを紹介するけどなあ…。筒井康隆さんの文章は色々迫るものがありました。人は選ぶかもしれませんが、面白いアンソロジーでした
2023/06/15
まるほ
こんなアンソロジーがあったのかと…。驚愕の一冊。▼排泄、とりわけ“うんこ”をテーマにした17編の物語。取り上げられるのは、エッセイ、評論、文学作品、海外文学、落語、マンガと幅広い。▼芸人山田ルイ53世の『ヒキコモリ漂流記 完全版(抄)』は、予想以上に文章が上手くとても印象に残る。筒井康隆の『コレラ』は、予想を上回るスゴいインパクト。▼韓国の文学作品を初めて読みましたが、独特の読後感。巻末の編者によるあとがきと解説も、読みごたえがありました。▼流石にこのテーマで17編も続けて読むとお腹一杯です…。
2023/07/22
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