リベラリズムとは何か (ちくま学芸文庫)
リベラリズムとは何か (ちくま学芸文庫) / 感想・レビュー
壱萬参仟縁
2015年。200年前のスペインで、政党を意味するリベラレス(liberales)以来、公共の舞台に上がるようになった(011頁)。リベラリズムは他者の苦境と福祉に対する配慮をも肯定し、社会内部の社会的差異に敏感であるべきだと主張している(025頁)。重要なのは、人間が自然権をもって生まれてくるという、ロックや他の17C思想家の主張(045頁)。最も重要なは自由であり、理想は、普及している民族自決や自治の教義に移植された(058頁)。
2021/04/16
うえ
リベラリズムは、「ソ連崩壊後に多くの旧共産主義国を惹きつけた」。しかしリベラルの伝統がないポーランド、ハンガリー、チェコ等では「歪曲された形態のリベラリズムが定着した」という。「豊かさに関する想像上の「西欧」モデル」が魅惑的に映った。しかしこれらの国では「国家はすべての社会的不正義の代理人」と見なされたため、国家に依拠せざるを得ない福祉リベラリズムが全く繁栄しなかった。ロシアでも旧ソ連邦の国でも、勘違いした自由主義を取り入れた結果、失敗し、西欧に対する逆恨みが肥大化してしまった。陰謀論が流行るはずである…
2023/04/12
Yuki2018
自民党から左翼までリベラルを自称する人は多いが、その定義は曖昧だ。本書ではリベラリズムを5層の合成物とみる。私的領域の不可侵を基底とし、その上に所有と蓄財の権利・個性の発展・公共善・複合的アイデンティティが重なる。5層のどこに重きを置くかで違いが生まれ、一部を過度に強調した似非リベラル(例えばネオリベラリズム)を批難する。第5層=マイノリティ・特殊性を優先する現代のリベラリズムには現実的な解決がない、という率直な評価は印象的。なお、最初の二章を中心にグーグル翻訳のような文章が多くて読みづらい。
2021/07/17
iwtn_
そういえば比較的リベラルを自認していたけど、それが何だったのか曖昧だったので、ちょうど良いと思って購入。副題の通り小著であるがゆえに好著。形態学的アプローチという手法で、端的にリベラリズムについてまとまっている。素晴らしいと思う。 2章で歴史的な現れ方を5枚の紙の比喩を使って表現している。また、3章でその中核を7つにまとめ、自由、合理性、個性、進歩、社会性、一般的利益、権力とし、様々なバリエーションがある場合にそれらを調整したものとしている。 今後の考える上での出発点となりそう。
2021/03/24
Go Extreme
甍連なる大御殿―多様性の確認:勝利したのか 誘惑 過剰状態 響き サンプリング 敵視・イデオロギー・哲学 形態学 諸制度 リベラルの物語:前史 社会的・経済的・文化的変容 書観念の結合 米国のリベラリズム リベラリズムという重層:第一~第五の層 ディレンマ リベラリズムの形態学:透過性のある境界 リベラルの中核 精確なものと曖昧なもの リベラルの名士達:偉人達 哲学的リベラリズム―正義の理想化:基本的前提 ロールズ 中立性 生の基準 悪用、誹謗、堕落―リベラリズムの苦境:行き過ぎ傲慢 フィナーレ
2021/04/04
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