雲と鉛筆 (ちくまプリマー新書)
雲と鉛筆 (ちくまプリマー新書) / 感想・レビュー
KAZOO
先日、吉田さんの「天使も怪物も眠る夜」という、らしくない作品(ファンの方には申し訳ないのですが)を読んで少し疲れてしまったのでこの本を手に取りました。やはりゆったりとした気持ちと肩の力を抜いてくれます。鉛筆製造にかかわりながら、わかりやすい言葉で哲学的な話をしてくれます。ちくまプリマー新書の表紙を300冊手掛けてこられたことを知り驚きました。
2024/08/15
へくとぱすかる
シュールな(という言葉を本当に正しく使っているのかなぁ)小説、いや、エッセイでもありそう。別役実さんの作品世界とよく似た感触があるから、やや不条理でもある。苦いお茶の水を汲みにいくために、180段の石段を上り下りしなければならない屋根裏部屋。そこに住む「ぼく」は鉛筆工場で働き、奇妙な友人や客と過ごす。まったく自然に、閉塞感を感じるかどうか、というタイミングで「なるほど、うんうん」と思いながら爽快にラストを迎える。そして読み終わって急に、「渡り鳥」についての本を読みたくなってしまったが、何とそれがあるのだ。
2021/08/23
あや
「子供たちにひとつだけ伝えるとしたらあなたは何を伝えますか?」というメッセージと共に原稿の依頼をするというのがちくまプリマー新書の基本との事。それを受けてクラフト・エヴィング商會が、子供たちにリボンをかけた小箱を一つ一つプレゼントするイメージで手掛けたカバーのデザイン。 この話だけでもファンである私はワクワクしてしまう。 本書はそのちくまプリマー新書の300冊目として刊行された。 考えすぎて固まってしまった心を優しくほぐしてくれるこの本は私にとってもプレゼントです。
2018/08/27
けんとまん1007
静かな時間が流れる1冊。日々、時間に追われる今、一瞬でも、それを忘れる時間が必要。雲。雲を見ていると、飽きることがないまま、時間が経つ。鉛筆に籠められた思いを想像すると、奥行きが深くなる。
2019/02/22
nico🐬波待ち中
鉛筆工場で働く”ぼく”の物語。”ぼく”は休日になると屋根裏部屋で思いつくまま青いノートに書き連ねる。本当のこと、時間、思い、知り合いの人生論等など。そんなどこかマイペースな”ぼく”もようやく飛び立つ準備を始めたみたい。春に向けてのわくわく感そのままに読了。そんな”ぼく”の青いノートより。「グレー・ゾーン」と云えば、曖昧であったり、疑わしいときに用いれられるのが常だが、白黒はっきりしない美しさもある。吉田さんの物語は白黒はっきりしないものが多いように思う。物事の「グレー」を書くことは吉田さんの美学なのかも。
2021/08/29
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